「政権奪還」狙うバイデン=ハリスの強みと弱み 「対中・増税・環境」に注目で市場大荒れ予想も

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上智大学教授の前嶋和弘氏は、ハリス氏の強みについてこう評価する。

「ハリス氏は上院議員で知名度が高く、能力的にも高い。カリフォルニア州の検事、司法長官を務めただけに、連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノー判事の承認公聴会での厳しい尋問ぶりや、ロシア疑惑捜査報告書についてウイリアム・バー司法長官を鋭く追及した姿は特に印象的だった」と話す。

高齢のバイデン氏には大統領になっても1期4年限りとの観測も多く、大統領の執務不能時の継承順位第1位で、次期大統領の有力候補となる新星ハリス氏に対する注目度は高い。10月7日には副大統領候補同士のテレビ討論会が予定されているが、やはり論客のペンス氏に対してどう善戦し、有権者の好印象を得られるかが選挙戦に影響を与える可能性がある。

バイデン氏と補完関係のハリス氏

「バイデン氏は白人男性で高齢。政界に50年近くいる大ベテランで安定感がある。一方、ハリス氏は人種マイノリティーで女性。年齢も55歳と若く働き盛り。カリフォルニア州司法長官時代はLGBTQ(性的少数者)の権利拡大にも尽力するなど、これからの民主党を代表する人物だ。バイデン氏と補完し合える関係で、選挙戦略的にも強い。ともに穏健派なので、中間層の有権者も逃げない」と、前嶋氏は見る。

また、早大教授の中林氏はハリス氏指名について、「与えられた条件の中では最善かつ安全な選択だった」と評価する。

「バイデン氏は以前から副大統領候補には女性を選ぶと言っていたが、ブラック・ライブズ・マターの人種差別抗議デモの影響によって、(エイミー・クロブシャー上院議員のような)白人ではなく有色人種の選択に落ち着いた。支持母体を満足させるという意味ではもはやハリス氏しかいなかった。今のところ民主党支持者の間での評価も高い」

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