日本代表がコートジボワールに勝つ条件 「個人の利益」と「チームの利益」を両立できるか

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本田と遠藤の思い

当然ながら、日本代表も「個人の利益」と「チームの利益」の両立問題と無縁ではない。

現在のザックジャパンには、主に2つのベクトルがある。

1つ目は南アフリカW杯で活躍した選手たちが抱く「次こそは攻撃的サッカーで勝負したい」という思いだ。

前回はチーム作りが思うように進まず、岡田武史監督は大会直前に守備的な戦術にシフトする決断を下した。それが見事に的中してチームは息を吹き返し、自国開催以外の大会で初めてベスト16に進出することができた。

しかし、付け焼き刃の守備重視戦術には限界があった。日本サッカーが進むべき次のステップとして、本田圭佑や遠藤保仁は「日本の良さを出してW杯で勝負する」と公言するようになった。他者からすると理想を追い求めすぎているように見えるかもしれないが、彼らの根底には「ベスト16より上に行くためには日本の長所にこだわることが必要」という冷静な分析がある。

本田と遠藤ほどに思想的ではないが、イケイケのメンタルでビッグクラブにのし上がった長友佑都と香川真司もここに含まれる。前大会、岡田監督は「香川は個人をアピールしようとする思いが強すぎる」と判断して23人のメンバーに入れなかったが、ポジティブに捉えればそれだけ気が強いということだ。どんな国でもぶっ倒してやるというたのもしさがある。

2つ目は、南アフリカW杯に出場しなかった選手、および主力ではなかった選手たちの「自分が出場するW杯を、実験の場にしたくない」という思いだ。

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