町のスーパーを全国区にした26歳社長の人間力 「フルーツサンド」がバカ売れ、東京にも出店

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「あれは5月の下旬でした。市場に並び始めたメロンを使ってみようと思いました。半分にカットして種を取り除いたメロンを器にして、その上に氷をのせてメロンのシロップをかけました。これをインスタに載せたところ、フォロワーさんから『おいしそうだけど、ちょっと物足りない』という意見をいただき、氷の部分にもカットしたメロンをたっぷりとのせることにしました」

たっぷりのフルーツを使ったかき氷は1680~3000円(写真:ダイワスーパー)

メロンをふんだんに使ったかき氷を「八百屋の作る本気のかき氷」というキャッチコピーとともにインスタにアップした。2週間ほど経ったとき、あるインスタグラマーが食べに来た。かき氷の写真がアップされると、6000もの「いいね!」がついた。その日だけでフォロワーが一気に3000人に増えた。その翌日、大山さんが目標として掲げていた「店の前に100人行列を作る」ことが実現した。

ただ、それを手放しで喜べなかった。朝から夕方まで客足が途絶えることがなく、店の前の道路は駐車場が空くのを待つ車で大渋滞ができてしまったのだ。周辺の店からクレームの電話が相次ぎ、対応に追われた従業員からも辛辣な言葉を浴びせられた。

さすがに落ち込み、祖父に相談すると、「俺が50年かけて売ったメロンの量をたった2日で抜いたんだ。もっと自信を持て!」と励ましてくれた。地元の人と信頼関係を築きつつ、もっとお客さんに喜んでいただこうと決意を新たにした。

八百屋の作る本気のフルーツサンド

かき氷の売れ行きは好調だったが、季節商品である以上、夏の終わりとともに売り上げも落ちていくのは目に見えていた。この行列をずっとキープし続けるには、季節を問わず通年用意できる新たな商品が必要だった。

「あれは7月上旬でした。コンビニでフルーツサンドが売られているのを見たんです。『八百屋の作る本気のフルーツサンド』として、日本中どこにもないフルーツサンドを作ろうと思いました。調理師学校を出た社員に頼んで、フルーツの味を邪魔せず、引き立てる日本一の生クリームを作りました」

フルーツサンドの味の決め手となるのは、やはりフルーツのクオリティー。市場に並ぶ旬のフルーツを目利きで仕入れて……というのが本来の形だろうが、当時の大山さんは野菜やフルーツについてまったく無知だった。

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