難関私立中を「途中退学」した少年の驚きの現在 「最善の道」を勧めたつもりが思わぬ結果に…

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学校に行かない日々が続く中、哲平君は妹や母親に手を上げるようになった。このままではいけないと、探し出したのが現在通う、全寮制の学校だった。

「小学校時代のお友達がこの学校を考えていたことがあり、不登校になっている子を受け入れてくれると聞いていました」

近年、個性を受け入れてくれる学校として話題になっている学校だ。しかし、ここは全寮制の学校。中学生で親元から離すことには戸惑った。だが、今の状態がエスカレートすれば、家庭内暴力へと発展する可能性もある。

学校選びは親の基準ではなく…

見学に行くと、はじめは「こんな田舎はいやだなぁ」と後ろ向きだった哲平君だったが、優しい先輩たちの姿と活発な部活動にひかれ「高校卒業までの限定なら、ここでやってみようかな」と前向きな気持ちへと切り替わった 。

今の本人の目標は東京大学に合格することだ。コロナの影響でまだ入部できていないが、高校では憧れの部活にも入りたいと意欲を燃やす。

「彼を受け入れてくれた今の学校には本当に感謝しています。中学受験は偏差値、ネームバリューを気にしがちですが、子ども本人の直感のようなものを大事にしてあげることも必要だと思います。わが子の経験からお伝えできるのはそのくらいです」

と香さんは言う。

社会に出るときのことを考えて、ネームバリューのある大学へ進学させたいと願うのも親心だろう。しかし、山内家が最後にたどり着いたのは、そのままの息子を受け入れて伸ばしてくれるかどうか、という基準だった。

子どもの人生は子どものもの。親の人生ではない。親の基準で学校を決めた場合に、その影響を受けるのは、ほかならぬ子ども自身だ。哲平君にとってはあまりに過酷な数年間だったが、今やっと彼は穏やかで前向きな学校生活を送っている。学校選びの姿は、本来はこうあるべきではないだろうか。

本連載「中学受験のリアル」では、中学受験の体験について、お話いただける方を募集しております。取材に伺い、詳しくお聞きします。こちらのフォームよりご記入ください。
宮本 さおり フリーランス記者

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みやもと さおり / Saori Miyamoto

地方紙記者を経てフリーランス記者に。2児の母として「教育」や「女性の働き方」をテーマに取材・執筆活動を行っている。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。

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