自由化路線を修正、オバマ金融規制の真意

不意打ちともいえる規制案

1月中旬、「金融危機責任料」として実質的な増税が発表されており、規制案は金融界をやり玉に挙げる方策として、政治色が強いとの指摘も多い。

だが、「単なる政権支持率回復を狙ったウォール街たたきと考えると、本質を見失う」(今村卓・丸紅米国ワシントン事務所長)。米国は大恐慌以来の深刻な金融危機を経験したにもかかわらず、「危機の再発防止策が何ら講じられていない」(同)からだ。

商業銀行は金融システムの中核を占め、預金保険など公的な安全網の恩恵を受ける。ボルカー・ルールが、「納税者をリスクにさらす取引に従事すべきではないという点で筋は通っている」(安井明彦・みずほ総研ニューヨーク事務所長)。

 

同案は、米連邦議会で昨年来審議中の包括的金融規制改革法案に追加される。監督体制や店頭デリバティブ規制の見直しなど、全体案の文脈の中でとらえる必要があるだろう。

強まる政策リスク

ただ、真の危機防止策というには問題点と矛盾がある。

スタンダード&プアーズのアナリスト、タニヤ・アザークス氏は「自己勘定取引の定義が非常に難しい」と指摘するとともに、そもそも「(規制対象の)自己勘定取引と未公開株投資は、金融危機の原因とはいえない」と批判する。また、「国際的な規制との調和がなければ、米銀の国際競争力が低下しかねない。規制強化を嫌い、米国から逃避する銀行が出るかもしれない」。

となれば、金融システム安定や消費者利益という規制本来の目的とは大きく乖離する。

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