コロナ禍で命と経済を両立するのは可能なのか 今の政府の対応は「後手後手」に回っている

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北野氏は、医療供給体制にある程度余裕があるなら経済活動を優先できるものの、重症患者数が一定数を超えてしまうと医療供給体制が破たんの危機に瀕してしまうリスクを指摘する。

実際、現在新型コロナによる「限界致死率」は当初に比べ落ち着いてきており、例えば日本もアメリカも1%台と大差はない。

だが「率の低さだけにこだわると、間違ってしまう」(北野氏)。確かに限界致死率が1%であったとしても、新型コロナにかかる人数が増えれば増えるほど、致死率や重症患者の絶対数は、許容できる範囲を超え、深刻な数に達してしまうからだ。

「命も経済も損なわれるリスク」にどう対処すべきか

緊急事態宣言時のような自粛要請に人々の行動制限まで加えると、影響は旅行・運輸・外食産業など幅広い業種におよび、そこで従事する人々の所得が大きく落ち込んでしまう。

もちろん、自粛要請と所得補償がセットでできればそれに越したことはない。だが、国も自治体も財源が限られており、強い要請はそう簡単にはできない。「このままでは、命も経済も損なわれるリスクがある」(北野氏)。

一方で、新型コロナが世界中に蔓延する過程で最低限の共通認識ができたことも確かだ。「マイクロ飛沫感染」などの話も取り沙汰されているが、一定の距離さえ保っていれば、散歩やジョギングまで危険というわけではないことも明らかになってきた。

以前のような強い自粛要請までは必要ないかもしれないが、短期間でコロナが収束するという期待も遠のいている今、この難しい問題をどう解決したらいいのか。結論はぜひ動画をご覧いただきたい。

東洋経済 会社四季報センター
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