「そんな悠長なことをしていていいの?」と疑問に感じるかもしれません。しかし、これは「急がば回れ」というやつで、わからないところでジタバタしているよりも、潔く「わかるところまで戻る」ほうが効率的なのだそうです。
たしかにそう考えてみると、僕も「数学がわからないな」と考えていた高校生のころは、中学校の数学が完璧ではなくて、そこでつまずいていたのが高校まで尾を引いていたように感じます。
でもプライドがあって、中学の教科書を引っ張り出すようなことはできず、結局無駄な時間を過ごしてしまっていました。確かに、「わかるところまで戻る」のがいちばん手っ取り早いのかもしれませんね。
「教科書を制す者が勉強を制す」という本質
2つ目の壁、「限られた手段の中での勉強」に関しては、実はすごく意外な答えが返ってきました。
「いや、教科書がいちばんわかりやすいから、教科書メインの勉強しかしてないんですよね」
どの学生も、教科書を重視して勉強していたのです。変に参考書とかに手を出すのではなく、何度も何度も、ボロボロになるまで教科書を読んで勉強していました。
「いやそんな、教科書なんて……」と思う方もいるかもしれないのですが、実際、東大は「教科書以上の知識は出さない」ということを標榜している大学だったりします。それによく考えてみると、「参考書」の「参考」って、「教科書の参考になる本」ということですよね。参考書をメインにして勉強するほうが、ナンセンスなんです。
思い出してみると、僕が東大の試験会場に行っていちばん驚いたのは、「東大受験生ってどんな参考書使ってるんだろう……?」と思って周りを見渡したところ、みんなこぞって教科書を読んでいた、ということでした。
いろんな参考書が身の回りにあふれていると忘れてしまいがちですが、教科書がいちばん情報が整理されていて、金銭的に恵まれている人もそうでない人も、平等に持っている学習ツールです。教科書こそ勉強における「最強のメインコンテンツ」であることを忘れてはならない、ということなのだと思います。
いかがでしょうか? 驚いたことに、今回取材に協力してくれた東大生の多くは、「塾に通えないこと」や「参考書をたくさん買えないこと」に対するハンデをあまり感じていないと話していました。勉強の手段が少ないことに対するディスアドバンテージよりも、むしろそれによって、いろんな工夫をしたからこそ東大に合格できたというのです。
ハンデを逆手に取って工夫する。彼ら彼女らのそういう姿勢は素直に尊敬に値するなと感じますし、その工夫は、どんな人にとっても参考になるように思います。
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