日本人が知らない「欧州夜行列車」のコロナ対策 6人個室を1人利用、新路線延期や運行断念も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
パリ・オーステルリッツ駅で発車を待つ夜行列車。コロナとどう向き合っていくかが夜行列車の課題となっている(筆者撮影)

1年前、誰が今の世の中を予測できただろうか。新型コロナウイルスの感染拡大により、今年の春には世界中で都市や国境が次々と封鎖され、自由に移動することができない状況が到来した。とくに被害が大きかったのが運輸業と旅行業であった。人の移動そのものが事業の主体となるこれらの業種にとって、外出制限や自由な移動が認められないことは致命的な問題であった。

ただ、経済を回すためには公共交通機関の再開は必須であるため、外出制限などの緩和とともに運行を再開する交通機関が増えていった。EU圏内の鉄道に関しては、まず国内列車の段階的な再開に始まり、各国間の国境封鎖が解除されると、国際列車の運行も徐々に再開した。現在、EU圏内のほぼすべての鉄道は、コロナ以前とほとんど変わらないダイヤへと戻っている。

個室主体の夜行列車は影響大

しかし、個室が主体の夜行列車は、数ある交通機関の中でも新型コロナの影響を大きく受けるであろう乗り物の1つである。

3人用普通寝台車の個室内。ヨーロッパでは個室寝台も相部屋となるが、列車によっては個室の完全買い取り(1個室1家族もしくは個人)だけを認めている国もある(筆者撮影)

欧州の夜行列車は、日本の個室寝台のように1人、またはグループでの利用だけでなく、個室寝台も相部屋となる。

引き続きコロナとの戦いが続く状況において、これらの列車ではどのような対策が取られているのか。

オーストリア鉄道が運行する「ナイトジェット」は、3月中旬に各国で移動制限が発令されて以降全列車が運休となったが、6月下旬より順次運行を再開した。ナイトジェットはドイツ鉄道が運行していたシティナイトラインの路線を引き継ぎ、2016年12月に誕生した夜行列車網だ。現在は7カ国で運行し、まもなくオランダへの運行を開始するべく準備を進めている。

次ページ1人で乗る場合は「個室まるごと予約」が必要
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事