日本人が知らない「欧州夜行列車」のコロナ対策 6人個室を1人利用、新路線延期や運行断念も

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昨年、環境問題がクローズアップされて以降、夜行列車はにわかに注目を浴びる結果となった。次々と新路線が計画され、今年から新たに運行開始予定だった路線もあったが、新型コロナ騒動によって延期となってしまった。

夜行列車乗車前の風景。列車が到着した際の出入口付近はとくに密になりやすいため、配慮が必要となる(筆者撮影)

とりわけ、昨年のフリグスカム(飛び恥)運動の中心地となったスウェーデンは、大陸側各都市へ向けた新たな夜行列車を計画しているものの、高感染危険国に指定されてしまったため、計画は頓挫している。

では、夜行列車の未来はどうなっていくのか。実際のところ、今回は鉄道そのものに問題があったわけではなく、新型コロナという感染症が原因であるから、収束へと向かえば再び運行活発化の流れが進む可能性が高いだろう。EUでは低感染危険国同士の往来をすでに再開させており、EU内だけで見れば、ほぼ通常どおりの列車運行が行われている。

新時代の夜行列車の形は?

だが、現時点では新型コロナに有効なワクチンが開発されておらず、日本を含めて今も感染者が増え続けているという状況だ。密室になりやすい夜行列車に関しては、感染症のリスクが通常の列車より高いことは間違いない。

ハンガリーやチェコの寝台車を連結した夜行列車ユーロナイト。国によっては、まだ出入国に制限を設けている国もあり、乗車には注意が必要だ(筆者撮影)

各鉄道会社は乗客に対し、乗車時はマスクを着用する(ただし他者のいない個室に入ってからはマスク着用義務がない場合が多い)、体調不良の場合は利用を控える、消毒の徹底(乗車前に消毒液を使って手を消毒するなど)ことを要請。販売する側も極力座席や寝台が密にならないよう、予約システムを調整している。

新型コロナが世界的に完全な収束を迎えるまで、夜行列車の運行にあたっては現在各国が実施しているような乗車人数の制限や消毒、体調チェックといった対策が当面必要だろう。環境問題への対応として広がりつつあった夜行列車の復活や拡大に水を差す形となった新型コロナだが、「withコロナ」時代の新しい夜行列車には、感染症対策の充実こそが重要かもしれない。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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