輸出規制が促した韓国の半導体素材「国産化」

日本企業シェア低下、韓国への企業誘致進む

向山英彦(むこうやま・ひでひこ)/日本総合研究所調査部上席主任研究員。中央大学法学研究課博士後期課程中退、ニューヨーク大学で修士号取得。証券系経済研究所、1992年さくら総合研究所を経て現職。著書に『東アジア経済統合への途』、『アジアの経済発展と中小企業』など(記者撮影)

――フォトレジストは日本企業が世界市場の約9割を占めている品目ですね。

そのとおりだ。フォトレジストに関しては、日本企業への依存が依然として続いていると言えるが、注意したいのは「脱日本」の動きが見られることだ。

1つは、サムスン電子が、日本企業であるJSRとベルギー企業との合弁会社からの調達を増やしたことが挙げられる。もう1つは、アメリカからの輸入先だったデュポンが2020年1月、韓国でEUV向けフォトレジストを生産する計画を発表した点が注目される。

顧客の近くで生産することでシェアを増やす狙いがあると思う。こうした状況下、シェアを奪われないために、東京応化工業が最近、仁川工場でEUV向けフォトレジストの量産を開始した。

戻らないフッ化水素の輸入額、韓国の国産化が進む

――フッ化水素も、日本が世界で高シェアを占めている品目です。またその品質や純度については、日本側から「韓国は絶対に超高純度品をつくれない」という声も聞かれました。

韓国にとってフッ化水素の輸入先は、中国が1位、日本が2位だ。半導体製造には500以上もの工程があり、その中でフッ化水素を使用する工程は10%程度を占める。工程ごとに使用する純度が違っており、超高純度のものの多くは日本から輸入していた。日本ではステラケミファと森田化学工業が主要メーカーだ。

データを見てみたい。韓国の輸入額は、輸出管理強化前は月600万~750万ドル規模で推移していたが、規制が本格化した8月以降は100万ドルを切り、現在でも100万ドル前後で推移している。日本企業には輸出許可が19年末に下りたにもかかわらず、フォトレジストとは対照的に、元の水準には到底及ばないレベルだ。

次ページ「韓国は絶対に超高純度品をつくれない」は本当か
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 財新
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • コロナショック、企業の針路
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スペシャルインタビュー<br>元ラグビー日本代表・畠山健介

今年から米メジャーリーグ・ラグビーのチームに所属、華やかな選手生活とは裏腹に幾多の葛藤を乗り越えてきた畠山選手。「ラグビーファンの拡大には、リーグのプロ化が不可欠だ」。新天地にいる今だから見えてきた日本ラグビー改革論を熱く語ります。