社員47人の出版社が100万部超を連発できる訳 サンマーク出版・植木社長が語るヒットの裏側

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サンマーク出版の植木宣隆社長に、8タイトルものミリオンセラーを出した秘訣を聞いた(撮影:尾形文繁)
社員47人――。数百人規模の大手出版社を向こうに回して、小さな出版社が直近25年で8冊ものミリオンセラーを出している。東京・高田馬場に本社を置くサンマーク出版だ。
そのサンマーク出版を2002年から率いるのが植木宣隆社長。編集者時代に累計400万部超の大ヒット作『脳内革命』(春山茂雄 著)を世に送り出した名物編集者でもある。その植木社長が初めての著書となる『思うことから、すべては始まる ミリオンセラー8冊達成の幸運に学ぶ』を上梓、この25年におけるヒット作連発の舞台裏などをつづっている。ベストセラー出来の法則はいったいどこにあるのか――。前後編でインタビューをお届けする。

ミリオンセラー、8タイトルの秘密

――書籍は雑誌と同じく1996年にピークに達し、右肩下がりで市場が縮んできました。その中において、社員50人にも満たないサンマーク出版がミリオンセラーを8タイトルも出しているとは本当に驚異です。いったいどんな秘訣があるのでしょうか。

ヒットする法則があれば苦労はありません。ですから、そのようなものはないのが本当です。しかし、結果としてヒットした作品を分析すると、そこにはやはり共通点があります。詳しくは拙著にも書いたのですが、

① 驚きを生むタイトルになっている
② 心と体の癒し、健康に関わっている
③ それを読むことによって、読者自身が変われる
④ 田舎でも売れる本になっている
⑤ 女性に応援してもらえる本である

の5つです。「女性に……」はわかりにくいかもしれません。男性読者は感動してもそれで終わりのことが多いのですが、女性は感動したら知人に勧めてくれる伝播力のある人が多いのです。

そして、その5つを私なりにそしゃくして総合すると「病人のお見舞いに持っていける本」ということになります。逆は必ずしも真ならずですが、ヒット作にはそんな共通点があります。

――「それを読むことによって、読者自身が変われる」というのも大きなポイントだと。

僕も編集者出身ですけど、編集者には内容にほれ込んでしまうと、周りが見えなくなって突っ込んでいってしまうところがあるんです。それでもいい本が作れることはありますが、読者からすると「いい本でした」で終わってしまうことが多い。それでは、数万部は売れません。

いい本で、かつ、読者の生活や考え方、価値観、行動、大げさに言うと人生に変化を及ぼすような、そういう要素が非常に大切だと思います。そうなれば当然、口コミで広がり、感動の連鎖を生み、大ヒットにつながります。

次ページミリオンセラーのダイエット本に読者は何を発見したか
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