JR西日本「N700S」導入で迫る500系時代の終焉

8両編成で柔軟性発揮、九州新幹線にも登場?

製造費用上、あるいは車両のメンテナンス上、「のぞみ」用16両編成と「こだま」などの8両編成が同じ系列ならば、スケールメリットが享受でき、部品の共通化も図れて非常に好都合だ。普通車指定席の4列座席など、必要な仕様変更を加えたうえで「みずほ」「さくら」にN700系を導入したのも、こうした理由による。

山陽新幹線の「700系(ひかりレールスター)」(写真:F4UZR/PIXTA)

現在、16両編成を組むものだけで2700両以上が存在しているN700系の後継車として、同数程度の増備が予想されるN700Sを山陽新幹線の「こだま」にも入れ、合計で192両しか在籍していない500系、700系を淘汰しない理由はない。

さらに性能上、500系、700系よりN700Sの方が、とくに加減速度において優れている。「こだま」は頻繁に停車し、待避駅まで「のぞみ」などから逃げ切れるよう急加速、急減速が要求される。この点でも新型車両のメリットは大きい。ダイヤの全面的な見直しが可能ならば、「こだま」そのものの待避回数の削減、ひいては「のぞみ」「みずほ」などの所要時間短縮も図れる。

将来的には九州新幹線にも?

500系、700系が淘汰されれば、次の置き換え対象として考えられるのが、九州新幹線の800系か。2004年のデビューで、2009年には増備車も登場しているが、JR九州初の新幹線電車であるため、開発費用の削減を目的に車両技術自体は700系を基本にした。それゆえ、いささか旧式化している。

九州新幹線の「800系」(写真:tetsuo1338/PIXTA)

現在、九州新幹線内では、6両編成の800系と、8両編成のN700系が併用されており、N700系のみ山陽新幹線へ直通する。800系は9本54両と、すべての新幹線電車の中で最少数派であり、今後、次第に「異端」扱いされる事態も予想される。

もし需要や新製費用が許すならば、800系を8両編成のN700Sで置き換えれば、山陽新幹線「こだま」との共通運用も可能となる。最高運転速度300km/hの性能も持っているから、「みずほ」「さくら」とも運用が共通化できる。つまり、16両編成が充当される列車以外の、すべての山陽・九州新幹線の列車の「N700S(またはN700系)8両編成」への統一も視野に入る。

また、それより先に、2022年度に武雄温泉―長崎間が先行開業する予定の長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)にもN700Sの導入の可能性がある。どのような形で登場するのか楽しみなところであるが、同系列の性能上の「汎用性」を発揮する仕様であることは間違いないだろう。

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