「トランプ暴露本」で本当に困っている人は誰か 「ボルトンから身内の姪まで」4冊読んでみた

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安倍晋三の父・晋太郎は戦時中に東京帝国大学に進学しているが、同時に海軍滋賀航空隊の予備学生にもなっている。これを「カミカゼ・パイロットであった」と称するのはかなり強引な解釈だが、とりあえずトランプさんはそう信じ込んでいるようである。そんな誤解を安倍首相は知っているのか、それとも敢えて放置しているのか、ちょっと興味深い。

板門店会談前のドタバタ劇も「ギャグ」のよう

さて、G20大阪サミットの翌朝、ボルトン氏がトランプさんへのブリーフィングの準備をしていると、ミック・マルバニー首席補佐官代行が血相を変えて駆け込んできた。携帯電話を差し出して「これを見たか?」と尋ねる。そこにはトランプさんのこんなツイートがあった。

「中国の習近平主席との会談を含め、多くの重要会合を終えた後、これから日本をたって韓国に向かう(文在寅大統領と一緒だ)。もし北朝鮮の金正恩委員長がこれを見てくれたら、DMZの国境地帯で握手して、”Say Hello”できるだろうか?」

いや、懐かしい。ほんの約1年前のこと(6月30日、板門店)なのだが、確かにそんな騒動があった。「コロナ後」の今となっては、まるで遠い昔のことのように思えてしまう。

もちろん、ボルトン氏以下の大統領随行団は大混乱に陥る。マルバニー補佐官が、「北朝鮮が正式な招待状を求めている!」(ツイッターでは金委員長が行かれないと言っている!)と騒いで、本物の招待状を用意するあたり、ほとんどギャグのような世界である。

さらに大阪からソウルに入ったトランプ大統領は、米朝首脳会談に割り込みたくて仕方がない文在寅大統領との間で、奇妙な駆け引きを演じることになる。北朝鮮もアメリカも、これは2国間会談だという了解である。しかし文大統領もここは譲れない。自国内で米朝首脳会談が行われて、自分がその場にいないという屈辱だけは我慢がならない。

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