最低賃金「引上げ反対派」が知らない世界の常識 専門家のコンセンサス「雇用への影響はない」
「専門家の間でもコンセンサスがない」は本当か
先週、最低賃金中央審議会において、最低賃金の実質的な据え置きが決まりました。消費税が10%に引き上げられているのですから、最低賃金を1円でも、1%でも引き上げる合意ができなかったことは残念に思いますが、コロナ禍だから仕方ないということでしょうか。
経営者の団体は「雇用を維持するためにも最低賃金は据え置くべき」と言っていますので、果たして本当に雇用を守るかどうかが、今後の最大のポイントとなるでしょう。
とはいえ、今年は引き上げなかったからといって、最低賃金を引き上げていく方向に変わりはないと「骨太の方針」には書かれています。
これまでの連載で指摘したとおり、モノプソニーの力を制限するために最低賃金を引き上げると、経営者が労働者を「安く買い叩く」ことが難しくなります。ですから、最低賃金の引き上げに必死に反対する人がいるのは理解できます。
反対派はあることないことを言っていますが、彼らの意見に同意することはできません。なぜなら、彼らの主張は理屈が通っておらず、また正しくないからです。
最低賃金引き上げの是非を議論する際、反対派が必ずと言っていいほど言及することが2点あります。それが、①海外では最低賃金の引き上げによる雇用への影響に関して、まだ研究者の間でもコンセンサスがない、②韓国では最低賃金引き上げで失業者が増えたという事例です。
今回は①について検証し、②は次回、検証していきたいと思います。
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