「中高生の感染」が実は最も看過できない理由 韓国大規模調査が示す学校クラスターの懸念

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リバーズ氏が委員を務める全米アカデミーズの科学者委員会は7月15日、障害がある子どもや小学生については可能な限り学校を再開するよう勧告した。オンライン学習で最も苦労するのが、こうした子どもたちだからだ。リバーズ氏によれば、韓国の新たな調査結果は勧告内容に影響を与えるものではないという。

この調査結果とくに懸念しているのは、中学生と高校生だ。この年齢層では、他者に感染させるリスクが大人よりも高くなるという結果が出ている。ただし、この結果については、単なる偶然か、子どもの行動に起因するものだと述べる専門家もいる。

中高生の体格は大人と同じくらいであることが多いが、その一方で衛生習慣は年少の子どもと同程度のまま、ということもある。また、年少の子どもに比べると、中高生は韓国の高層集合住宅内で友達と接触する機会が多かった可能性もある。

「これについて延々と推測を続けることも可能だが、本当のところはわからない」と前出のオスターホルム氏は言う。「とにかくはっきりしていることは、感染は起こる、ということだ」。

学校クラスターに備えよ

オスターホルム氏を含む専門家たちは、学校は感染が起こることをあらかじめ想定しておく必要があると話す。学校はフィジカル・ディスタンシング(身体的距離の確保)、手指衛生、マスク着用の実施に加えて、生徒のほか、バス運転手なども含む職員の検査をいつ、どのように行うかを決めておかなければならない。隔離はどういったタイミングで何日間行うのか、どのような状況になったら学校を閉鎖・再開するかも決める必要がある。

しかし専門家によると、学校内感染に関するエビデンスは決定的とは言いがたく、こうした対応のハードルはおそろしく高い。デンマークやフィンランドなどが無事に学校を再開する一方、中国、イスラエル、韓国などが再度閉鎖を余儀なくされたように、対応は国によってもわかれている。

「学校再開に関するイデオロギーに合わせて、都合のいいエビデンスがつまみ食いされている。まさに避けなければならないことが行われている」と語るのは、ニューヨークにあるコロンビア大学公衆衛生大学院の疫学者、ジェフリー・シャーマン氏だ。

同氏によると、今回の研究結果は決定的な答えを提示するものではないが、学校が市中感染のリスクを高める可能性があることを示唆している。

同時にシャーマン氏は、子どもたちが教育や社会的な成長にとって極めて重要な意味を持つ数年間を失わないようにする重要性を指摘し、各学区は難しい判断を迫られていると語る。「適切なバランスは簡単には見いだせない」

(執筆:Apoorva Mandavilli記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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