「中高生の感染」が実は最も看過できない理由 韓国大規模調査が示す学校クラスターの懸念
学校再開に関する白熱した議論のなかでも、とりわけ焦点になっているのが、子どもはどれくらい新型コロナウイルスを広げる可能性があるのか、という問題だ。
韓国の大規模調査が、その答えを示している。10歳未満の子どもが他者に新型コロナを感染させる確率は大人に比べるとずっと低いが、リスクがないわけではない。そして、10~19歳の子どもは少なくとも大人と同じくらい他者に感染させうる。
この調査結果は、学校が再開されれば学区内で全年齢層の子どもを巻き込んだクラスター感染が広がることを示唆している、と専門家は警告する。
「子どもは感染しにくい」は誤解
「怖いのは、子どもは感染しないとか、大人と同じようには感染しない、だから子どもは透明なバリアで守られているようなものだ、といった感覚がはびこっていることだ」と、ミネソタ大学の感染症専門家、マイケル・オスターホルム氏は語る。
「感染は必ず起こる」とオスターホルム氏は言う。「私たちがしなければならないのはこの現実を受け入れること、そしてそれを今後の対策に生かしていくことだ」。
これまでヨーロッパとアジアのいくつかの研究では、低年齢の子どもは感染したり他者に感染させたりするリスクが低い、という結果が示されてきた。しかし、それらの研究のほとんどが小規模で不正確だと、ハーバード・グローバル・ヘルス研究所のディレクター、アシシュ・ジャー氏は指摘する。
今回、韓国で行われた新しい大規模調査は「とても入念に系統立てて行われており、非常に大きな集団を対象にしている」とジャー氏は言う。「この件に関しては、現時点で最高の研究の1つといえる」。