オリンパス撤退、深刻化するカメラ市場の苦境 市場は縮小、次の焦点は赤字転落のニコンに

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縮小

実際、デジカメ市場は縮小の一途をたどっている。カメラ映像機器工業会によると、2019年の世界総出荷台数は1521万台。ピークだった2010年(1億2146万台)の8分の1に縮小している。

そこに襲いかかったのが新型コロナウイルスだ。外出規制やイベントの中止によってカメラ市場は一段と冷え込んでいる。カメラ映像機器工業会によると、5月の世界総出荷台数は前年同月比72.6%減の約37万台と大きく落ち込んだ。1〜5月の累計では前年同期比50.4%減とかつてないほど悪化している。

雑誌『アサヒカメラ』も休刊に

折しも、オリンパスがカメラ事業撤退を発表する3週間前には94年の歴史がある朝日新聞出版の総合カメラ雑誌「アサヒカメラ」も広告収入の減少を理由に2020年7月号をもって休刊することを決定。オリンパスとアサヒカメラの撤退は秒読みとされていたが、業界関係者やファンに衝撃を与えている。

かつて日本のお家芸だったデジカメ業界はオリンパスに限らず苦境に陥っている。2017年にはリコーがカメラ機種を縮小し、カシオ計算機も2018年にコンパクトデジタルカメラからの撤退を決めた。中堅メーカーを中心にリストラのドミノ倒しが始まっている。

大手メーカーも安泰ではない。特に厳しいのが一眼レフカメラでキヤノンと双璧をなしてきた名門ニコンだ。ニコンは2020年3月期連結決算でデジカメを中心とした映像事業が171億円の営業赤字に初めて転落。好採算の一眼レフや交換レンズの販売が振るわないのが原因だ。

ニコンは2019年から2020年にかけて、タイやラオスなどの生産拠点で大規模な人員削減を実施してきたが、2021年3月期も新型コロナの影響を受けて「2期連続の赤字を覚悟せざるをえない」(德成旨亮CFO)としている。

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