コロナ後に勝ち続ける人を形作る決定的な要素 オンラインが当たり前の環境に対応できるか

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APU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明さん(左)と『ネットビジネス進化論』の著者・尾原和啓さんによる「歴史」をめぐるオンライン対談をお届けします
歴史に関する本を何冊も執筆し、無類の歴史好きとしても知られるAPU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明さんが、インターネットの歴史と進化の軌跡を描き出した『ネットビジネス進化論』の著者、尾原和啓さんと「歴史」をめぐってオンラインで対談。「歴史が苦手な人は学ぶ面白さの本質を知らない」(2020年7月21日配信)に続く全3回の2回目をお届けします。

常識を捨てるのが早い人が生き残る

出口 治明(以下、出口):新しいものが興るときは、大体においていままでのゲームのルールを無視した人が生き残ります。人間は自分が育った社会の常識をなかなか捨てきれないじゃないですか。でも、思い切って捨てた人、相対的に捨てるのが早かった人が、生き残っているんですよね。

尾原 和啓(以下、尾原):変化のときは、いままで通用していたものが通用しなくなってくる。でも、いつまでも、いままでのものが通用するんじゃないかと思っていると、変化に取り残される。これもスピードの問題だし、もっと言うと、成功体験にとらわれてしまうことが問題です。

出口:そのとおりです。よく地域おこしで「若者、ばか者、よそ者」が必要といわれますが、これも成功体験というか、過去を引きずらないのが大事だということだと思うのです。あと、世の中はだんだん変化していくだけではなくて、世の中の土俵が突然変わることがあるのです。土俵が変わったら、ルールも違ってくる。

わかりやすいのは、カエサルです。古代ローマはどんどん大きくなって、元老院で議論していたのではもうもたない。これは変化のスピードというよりも、むしろステージが変わったということです。そうするとカエサルが考えたように常備軍を持って、官僚制を敷かなければ、もはやコントロールできない。

尾原:ネットビジネスがほかのビジネスと違うのは、土俵を人がつくれてしまうということだと思うんです。例えば、航海術が出てきたことで、それまで都市国家単位、王国単位で見ていればよかったものが、大陸単位で見なければいけなくなった。また、印刷術が出てきたことで、情報が一気に広がるようになった。

そうした土俵の変化は、いままでは数百年に1回くらいしか起きなかったけれど、インターネットが登場したことによって、5年単位、10年単位で土俵が変わるようになった。ネットによってコピー可能な情報がつながるようになったと思ったら、ブロックチェーンによって、お金や不動産や契約など、コピーできないリアルな資産まで流通できるようになる。さらに、VR(仮想現実)が普及すれば、完全に土俵が入れ替わる。

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