コロナ後に勝ち続ける人を形作る決定的な要素 オンラインが当たり前の環境に対応できるか

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いま、シリコンバレーで話題になっているのは、コロナショックのあとの2020年ビンテージは何だという話です。2008年のリーマンショックのあとは、ベンチャーがめっちゃ伸びたんです。リーマンショックで金融が傷んで既存ビジネスが弱まったあとに、スマホとソーシャルという新しい土俵が2ついっぺんに登場したから、そこにお金がドーンと入って、それがいまのGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)の支配につながった。

尾原和啓(おばら・かずひろ)/IT批評家。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのi モード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、グーグル、楽天の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任(撮影:干川修)

2020年は、コロナショックによって「リアル=オフライン」で仕事をするという常識が強制的に崩され、オンラインで仕事をするのが当たり前になった。そのあとに、オンライン環境を強化する5GやVR、モノもネットでつながるIoT(モノのインターネット)という、新しい土俵が3つも登場するので、次のGAFAM、次のカエサルが登場する可能性が高い。

出口:そうですね。ただ、カエサルが生まれなかったら、ローマ帝国は滅んだかもしれないので、土俵が変わったからといって新しいものが生まれるとは限らないというのが、歴史のおもしろいところだと思います。昔の人は「天の時、地の利、人の和」とうまいことをいっています。人間だけではどうしようもない、天の時や地の利も大事だよ、と。

尾原:麻雀で、天和(テンホー:親が配牌時にあがっている。役満)と地和(チーホー:子が最初のツモであがる。役満)と人和(レンホー:子が最初のツモの前に誰かの捨て牌でロンする。役はケースバイケース)の3つがそろったら、ホンマに奇跡ですという話で(笑)。

出口:逆に、天の時と地の利があっても、そのときに然るべき人が出なければ、改革はできません。新しいことができるチャンスなのに、周囲を動かせるリーダーが出てこないと、せっかくのアイデアもあっという間に潰されてしまう。こういうときだからこそ、みんなが伸び伸びと、いろんなことにチャレンジするような雰囲気をつくっていかないと、せっかくの機会が生かされません。

勝つのが得意な人と勝ち続けるのが上手な人は違う

尾原:僕が大事だと思うのは、勝ちには不思議の勝ちがあるんですけど、勝ち続けるには不思議はないということです。

出口:「負けに不思議の負けなし」と野村克也監督も話していましたね。

尾原:そうです。「勝つ」ためには、運とタイミングをつかむ必要があって、そこは偶然の要素が強い。でも、勝ち続けることに関しては、歴史を振り返ってみると、大国で長期間栄えたところは、勝ったあとに、ちゃんとそれを仕組み化して、続くようにしています。

出口:唐の太宗の言行録といわれる『貞観政要』に、創業と守成(しゅせい)の話が出てきます。何かを立ち上げる人と、できあがったものを組織化し、続くようにする人は、たぶん違う種類の人なんです。ベンチャーでむずかしいのは、立ち上げは勢いでうまくいったとしても、そこから上手にバトンタッチして組織を作り上げていかないといけない。創業の人だけでは、守成がなかなかうまくできないところがある。

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