コロナ後に勝ち続ける人を形作る決定的な要素 オンラインが当たり前の環境に対応できるか

拡大
縮小

出口:新型コロナがインフルエンザ並みになったら、ニューノーマルは基本的に消えると思うのです。ただ、コロナが終わっても元に戻らないものがある。僕はテレビのリモコンスイッチのことをいつも思い浮かべるのですが、リモコンが出てきたときは、「1メートル手を伸ばせばテレビのスイッチを回せるのに、そんな横着な人なんかいない」とみんなが言っていたのです。

尾原:なんでわざわざリモコンがいるのかと。

出口:ところが、いまは全員リモコンです。わずか1メートル動くのも億劫なのが人間の本性です。人間は怠け者で横着な動物なので、オンライン授業を1回やった人は……。

尾原:こっちのほうが楽やんと。

便利さや簡便さはすべてを凌駕する

出口:オンライン会議をやった人も同じです。便利さや簡便さはすべてを凌駕すると思っているので、そうすると、社会はどういうハイブリッドタイプに変化していくのか。

尾原:「面倒くささ=摩擦」がない状態を「フリクションレス」と言って、拙著『ネットビジネス進化論』でも取り上げています。

出口:オンラインもインターネットも進化が速いので、これからどうなるかは僕には想像できません。便利なものが勝つに決まっている、つまりフリクションレスが広まるぐらいしかいえない。ただ、1つだけ思うことがあります。

APUで上半期はオンライン授業しかできないという話をしたとき、一部の先生方は猛反対したんです。学生の目を見て、表情を見て、講義をするのが大学の講義なので、オンラインではダメだと。心をこめた講義はできないと。ところが、ほかに方法がないからしかたなくオンライン授業をやってみて、いまどうなっているか。いちばん反対していた先生がいちばんオンライン授業にハマっているのです。

尾原:へえ! それはなぜですか?

『ネットビジネス進化論』(NHK出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

出口:理由はシンプルで、反対していた先生方は、授業に情熱を持っていたのです。コンテンツがしっかりしていて、考え抜かれた自分の授業をオンラインなんかでできるわけがないと思い込んでいたのです。でもオンライン授業をやるしかないと諦めたら、その先生方がネットを使いまくるわけです。

尾原:工夫しまくりますね。

出口:そう考えると、インターネットのビジネスも最終的にはコンテンツだと思うのです。授業に情熱を持っている人がZoom授業を使いこなすのと同じように、しっかりしたコンテンツを持っている人がインターネットを使いこなす。インターネットはすばらしいものだけれど、あくまで1つのツールなので、その人がどんなことを教えたいか、何をやりたいか、何を売りたいかということで決まるような気がします。

尾原:何を発信したいかが大事ということですね。

(構成:田中 幸宏、第3回に続く、近日公開予定)

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT