コロナ後に勝ち続ける人を形作る決定的な要素 オンラインが当たり前の環境に対応できるか
尾原:日本の場合はどうしてもワンマン経営で最後までいきたいという人が多いですが、アメリカでは分業体制ができていて、グーグルも初期の頃にエリック・シュミットというプロの経営者に入ってもらっています。
出口:グーグルがいちばんいい例で、あの2人は創業の人です。
尾原:ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン。
創業と守成は能力や仕組みが違うビジネス
出口:グーグルはオーバーにいえばエリック・シュミットをいわばマーケットから買ってきたわけです。創業と守成は違うビジネスだということがわかっていたからです。もちろん同じ人で、両方できる人もいるかもしれませんが、創業と守成は能力や仕組みが違うビジネスですよね。
尾原:勝つという波に乗る部分と、勝ち続けるという仕組み化の部分、どちらもネットビジネスの歴史の中で学べるものがあります。個人的にすごくお聞きしたいのが、出口さんはライフネット生命を禅譲されたじゃないですか。それって、創業と守成を分けるという話なんですか?
出口:ライフネット生命をちょうど10年経営してきて、僕が古希(70歳)になったとき、ふっと考えてみたら、ちょうどトップライン(売上高)が100億円を超え、営業キャッシュフローが40億円を超えていたのです。トップラインはたいしたことがないんですが、生命保険業は先にお金をもらってあとで払うビジネスですから、営業キャッシュフローがたまる。企業会計的に見たら会社の儲けではないのですが、企業会計を離れて企業を生き物だとすれば、営業キャッシュフローさえ潤沢なら、生きていけるんですよね。
ちょうどそのときに、いまの社長の森亮介くん、当時はまだ33歳だったのですが、彼がとてもよく働くので、彼に役員をやってもらったほうが会社のためになるだろうなと思って辞めました。これもたまたまですよね。10年経ったとか、古希になったとか、営業キャッシュフローが40億円を超えたとか、そういう偶然が重なってバトンタッチしようと思ったわけですから。そのときにたまたまAPUが学長を国際公募していて、誰かが推挙してくれたので、いまの自分があるというわけです。すべて偶然の賜物です。
尾原:節目に振り返って、次のフェーズに行こうというときに、何をするかも、ある程度再現性のある行為として、歴史から学べる話です。