東芝への株主提案で窮地に立つ経産省の「憂鬱」

改正外為法、エフィッシモはどうかわすのか

東芝に対する株主提案をめぐり、経済産業省が窮地に立たされている(写真:西村尚己/アフロ)

進むも地獄、退くも地獄とはこのことか。

シンガポールの投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」が東芝に突きつけた株主提案を巡り、経済産業省が窮地に立たされている。

東芝株の15%超を保有して筆頭株主でもあるエフィッシモは、子会社で発覚した架空・循環取引を問題視。7月31日に開催される株主総会を前に、ガバナンス強化を図るべきだとして取締役3人の選任を求める株主提案を行った。

これに対し東芝は「取締役は現在の12人くらいが適正で、増やす必要はない」と反対、両社は真っ向から対立している。

取締役候補が事前審査の対象に

こうした中、市場関係者の間でにわかに注目が集まっているのが、エフィッシモが提案している株主提案の中身についてだ。取締役候補の中に、エフィッシモの設立メンバーでディレクターを務める今井陽一郎氏が入っているからだ。

実は、今井氏を含めたこの株主提案は、外資規制を強化する目的で2020年5月8日に施行されたばかりの改正外国為替及び外国貿易法(外為法)の「事前審査」に抵触し、経済産業省の姿勢が問われる事態に発展しているのだ。

改正外為法では、外国投資家が日本の安全保障にかかわる事業を手がける国内の上場企業株を一定程度取得する場合、事前の届け出を義務づけ、その内容について所管官庁が審査を行う。

これは事前審査と呼ばれるもので、外資に対する監視を強化するため今回の改正でその対象を発行済み株式数の10%以上から1%以上に厳格化し、対象を拡大した。重点審査の対象となるコア業種も同時に発表され、現時点で558社。もちろんその中には東芝も含まれている。

これまでの基準が緩すぎたというのが法改正の理由なのだが、問題となっているのは事前審査の対象となる行為についてだ。

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