死亡者数が少ない「日本のコロナ対策」のスゴさ なぜ世界一の高齢化社会が大感染防げたのか

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また、施設にいる高齢者のうち何%がコロナで亡くなったかという数値に換算すると、ドイツが0.4%、スウェーデンが2.8%、イギリスが5.3%、スペインが6.1%であるのに対し、日本は0.01%にも満たない。

高齢者施設で起こる感染は集団化する傾向が強く、それを隠すことは難しいが、日本のPCR検査数が先進諸国より桁違いに少ないために、コロナ死亡者数が実際よりも低く見積もられている可能性は残る。そこで、先日発表された4月の人口動態速報を基に、コロナ関係のデータを多く公開しているフィナンシャル・タイムズ紙と同じ計算式で過去5年間の同じ月の死亡者数と比較して、どれだけ死亡者数に変化があったか(超過死亡)を計算した。

すると、東京での超過死亡は3月に2.2%、4月に8.4%増加した程度であり、同様の大都市であるロンドン(それぞれ8.8%、192%増)やニューヨーク(それぞれ49%、480%増)と比べて大幅に少ない。

この数値から見ても、日本の高齢者施設での感染・死亡者数が過少に算出されている可能性は低いであろう。

世界に誇れる日本の介護制度

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、東アジアはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)での経験により、感染症対策にたけていたのではないか、という重要な指摘をしている。

ほかの東アジア諸国と違い、SARS・MERSで苦汁をなめていない日本であるが、新型インフルエンザ等への対策として従来から、高齢者施設内に感染対策委員会を設置するなど、細やかなガイドラインとマニュアルの整備がなされ、改訂されてきた。そして、インフルエンザ流行時には感染予防として高齢者施設の面会制限などが以前から行われてきた。日本では施設の「ロックダウン」に関して入所者の家族らが慣れていたことも社会的には重要な点だ。

また、感染症対策がトップダウンというよりも厚労省・各自治体・施設内でルーティン化されていたので、政治の介入抜きでコロナ対策がほぼ自動的に作動した。欧米では医療従事者でさえインフルエンザの季節でもマスクなしで患者に接しており、老人ホームなどではさらに意識は低い。

以上の国際比較を鑑みると、日本の介護・感染症予防行政、そしてマスクさえ足りず、入所者の家族からの寄付などを受けながら頑張った日本の高齢者介護従事者らの苦労と貢献は明白だろう。

コロナ第1波での対策の成功は、日本の介護制度が世界に誇れるものであることを示すものだ。にもかかわらず、政府のデータ公開が遅いために国際データから日本が除外され、興味を持ってもらえないことが残念である。

マルガリータ・エステベス・アベ(米シラキュース大学准教授)

<本誌2020年7月21日号掲載>

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