「プロスポーツの試合」続ける米国のヤバい現状 増えるコロナ陽性者、一部選手は出場辞退

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アメリカンフットボールのプロリーグNFLは、こうした問題について選手会(選手の労働組合)と協議を続けている。まだ最終的な結論には達していないが、議題には出場辞退に関する規定だけでなく、シーズンの中止規定が含まれている点が目を引く。パンデミックで中断されたシーズンを再開・完了しようとしているNBAなどと違って、NFLは例年の開幕時期まで、まだ時間がある。

アメフトの選手は通常、7月下旬まではトレーニングキャンプに入らない。それまでには、バブル(隔離エリア)の中で再開したか再開しようとしているリーグ、およびメジャーリーグのようにバブルを用いずに再開するほかのリーグから、何らかの教訓が得られるようになっているはずだ。

バブル入りしたMLSからは、今のところ前向きな評価が出ている。各チームは6月下旬、フロリダ州オーランドにあるバブルに到着し始めた。サンノゼ・アースクエイクスが一番乗りしたのは、本拠地ではチームの全体練習が行えなかったからだ。

サンノゼのディフェンダー、トミー・トンプソン選手は6月26日、ビデオ会議で行われた記者会見で、選手たちはピッチにいないときは自分の部屋で読書したり、映画を見たり、ビデオゲームをしたりしていると語った。食事はリーグが確保したディズニーリゾートの中でチームごとにとっているという。選手らは、リーグの管理下にある隔離エリアを離れて感染したらどんな結果が待ち受けているか、現時点では誰もがそのリスクを認識していると話す。

「これ以上、安全な環境はないと感じる」と、オーランド・シティSCのフォワード、クリス・ミューラー選手は語った。「ここは自宅より安全だと思う」。

基準がないと危機対応が手遅れに

ただ、チームやリーグの感染がどの程度まで増えたらレッドライン(死守しなければならない一線)を超えたと見なすのか、その基準は依然として曖昧だ。

ビニー氏は、1つのチームで3〜4人の選手から陽性反応が出た場合には、集団感染の兆候とみて当該チームを一定期間閉鎖すべきだと話す。とはいえ、何チームが閉鎖になったらリーグがシーズンを中止するのかは、はっきりしていない。

「スポーツには巨額のお金が絡んでいる。レッドラインを設定しておかないと、いろいろな言い訳が持ち出されて、中止しなければならない状況になってもシーズンが続行される恐れがある」と、ビニー氏は指摘する。

(執筆:Matthew Futterman記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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