「プロスポーツの試合」続ける米国のヤバい現状 増えるコロナ陽性者、一部選手は出場辞退
こんなはずではなかった。新型コロナウイルスで中断したアメリカのメジャースポーツは、感染カーブが横ばいとなり、感染や死亡率、入院についての不安が後退する中で再開されるはずだった。
ところが感染者数は急増し、逆に不安が強まっている。中でも深い懸念に包まれているのがフロリダ州とテキサス州だ。フロリダ州にはメジャーリーグベースボール(MLB)の2チームが本拠を構えるほか、プロバスケットボールNBAやサッカーのプロリーグMLS、女子プロバスケWNBAが「バブル」と呼ばれる隔離環境の中で試合を行うことになっている。テキサス州にもMLBのチームが2つあり、60試合制となった短縮シーズンの試合会場になっている。
各リーグは選手とチームスタッフの感染リスクは最小限に抑えられるとしている。NBAとMLBの感染防止マニュアルは113ページに及び、食事やトレーニング、手洗いなどについて数多くの指針が示されている。
感染者が何人出れば中止かの基準なし
しかし感染症の専門家によれば、網羅的なマニュアルを用意し、さまざまな対策を講じたとしても、ある程度の感染は避けられない。それなのに感染者数が何人になったら危険と判断するのかについては、明確な基準が示されていない。
再開に向けた準備は今も進められているが、課題の多くはリーグやチームがコントロールできる範囲を超えている。結局のところ、すべてはアメリカ全体や、チーム本拠地の感染率がどうなるかにかかっているのだ。
「時間がたつにつれて、スポーツの再開を楽観できるような状況ではなくなってきている」と、サウスカロライナ大学の疫学者、メリッサ・ノーラン氏は話す。「基本的なサービスの提供にすら苦労しているときに、スポーツの再開を正当化するのは難しい」。