東芝の社外取、「モノ言う株主」提案への大反論 株主が提案する取締役選任案は「あり得ない」

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――今後は不正防止に向けてどんな対策をとりますか。

太田:システムとしての再発防止策について、できることはやっていく。新たな基幹業務システム構築に着手している。そこには内部統制の仕組みも入れるし、経理データも自動的に検知できるプログラムを入れていく。そこでヒューマンエラーを撲滅して意識改革を繰り返していく。

併せて、定量的・定性的な評価を入れた新しい人事システムも導入していく。さらに、付加価値を伴わない自社製品以外の(商品の実際の受け渡しがない)直送取引は今後原則として禁止にした。

前例のない常勤の社外取締役制

――エフィッシモは現在の社外取締役がコンプライアンス問題に専念できているのか、疑問を抱いているようです。

太田:2015年以降の内部管理体制の強化の一環として、(社外取締役で構成する監査委員の)常勤制が前提になっている。この2年ほど私は常勤でやっている。

日本企業で常勤の社外取締役というのはほとんど例がないのではないか。非常に細かい執行サイドの内部通報も含め、リアルタイムに連絡が入ってくる。重要会議もすべて出席している。

古田さんをはじめ、非常勤の監査委員は私以外に3人いる。ただ非常勤でも監査委員会の開催と内部監査のヒアリングがものすごく多い。監査委員会とミーティングなどの場を含めると年間60回ぐらいはある。そういう意味では非常勤の方もセミフルタイムだ。

――エフィッシモは短期的な利益を狙うアクティビストファンドではなく、中長期で東芝の企業価値向上に貢献したいとしています。

太田:確かに彼らは中長期的に事業価値を大事にしたいと面談で言っていた。だが本当に何年もコミットしてもらえるのかわからない。

彼らにも出資者がいる。中でも東芝が最大のエクスポージャー(投資額)だと思うが、エフィッシモは大変大きなお金を日本株を中心に相当投資しており、簡単には出ていけない。一気に出て行くと、(株価が)値崩れするに決まっている。

少しずつしかエグジット(保有株式の売却を)できない。そうだとすると、中長期で企業価値向上を目指していきたいというのはあるだろう。市場の流れに沿った株価形成であってほしいと。そのベースであるガバナンスとコンプライアンスがしっかりして欲しいというのはわかる。

――会社側提案について、株主からの賛同は得られそうですか。

太田:票読みは当然しているがまだわからない。毎日とはいかないが、社外取締役としても今まで以上に外に出ていって機関投資家と話した方がいいと考えている。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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