コニカミノルタ、コロナ後の複合機に自信の訳 山名社長が語るペーパーレス化への対応策

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ペーパーレス化とテレワークという逆風に複写機メーカー中堅のコニカミノルタはどのように立ち向かうのか(記者撮影)
新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが一気に拡大している。通勤がなくなることで打撃を受けているのが事務機器・複合機業界だ。
もともとあったペーパーレス化の流れにテレワークの動きが加わり、オフィスでのプリント需要が急減している。リコーやキヤノンなど複合機大手の2020年3月期は軒並み減収減益となり、中堅メーカーのコニカミノルタは30億円の最終赤字に転落した。
そんな中、オフィスのIT支援など収益の多角化を進めるため、2020年5月にサーバーを搭載した複合機「Workplace Hub Smart(ワークプレイス ハブ スマート)」を発売。単に複合機を売るのではなく、オフィスのIT化支援を本格化する方針を打ち出した。
ペーパーレス化やテレワークという逆風にどう立ち向かうのか。コニカミノルタの山名昌衛社長兼CEOに聞いた。

コロナ前からオフィスのIT化を推進

――2020年3月期決算の最終損益は30億円の赤字と厳しい結果でした。

新型コロナウイルス感染拡大が直撃した。収益基盤であるオフィス向け複合機などで構成されるオフィス事業は年度末である3月に売上高のピークが来る。だが、まさにその時期に各国でロックダウン(都市封鎖)が起こった。

特に売上高比率の6割ほどを占める欧米市場で営業活動が制約されたことが痛手となった。

――コロナの影響によって在宅勤務が広がり、ペーパーレス化がさらに加速することが予想されます。

コロナが収束してもテレワークの動きは継続し、オフィスでのプリント需要は減少する。しかし、数年前からペーパーレスを想定した経営を進めてきた。

コロナによってペーパーレスのスピードが速まったというだけであり、まったく新しいことが起こったわけではない。ペーパーレスを想定していたからこそ、オフィスでのプリント需要依存から脱し、2018年から複合機を中心にオフィスのIT化を推進する「デジタルワークプレイス」という新規事業へ転換させてきた。

コニカミノルタの顧客は中堅中小企業が多い。こうした企業はITを専門にした部門が社内になく、オフィスのIT化をしたくても推進しづらいという課題がある。IT機器の管理やセキュリティはさまざまなITベンダーに頼まなければならず、コストも時間もかかる。大手のITベンダーも中堅中小企業を直接訪問するようなことはまれにしかなかった。

そこで、複合機の設置・管理を通じて個々の企業と付き合いのあるわれわれが一括してIT化を推進しようというのがデジタルワークプレイス事業の目的だ。複合機を通じた定期的な付き合いがあるからこそ、顧客の希望に沿ったサービスを提供できる。

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