「専業主婦に憧れる女性」がドイツにいない理由 1977年まで「働く自由」なかった既婚女性たち

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昔ながらのドイツの家庭では家計の管理は男性である夫がしていました。夫の収入が高くても、夫が「専業主婦である妻に微々たるお金しか渡さない」ケースも多かったのです。そのため「家自体は裕福」なのに、服もロクに買えず自分の好きなものにお金を使えない専業主婦が昔のドイツにはたくさんいました。

そのような母親を見て育った娘は当然ながら専業主婦になりたいとは思いません。ドイツで「専業主婦」というと「男性である夫にお金を管理されているかわいそうな女」のイメージがどうしても強いため、専業主婦に憧れる人はあまりいないわけです。

かつては「男女不平等国」だったドイツ

日本では「ドイツは男女平等」だというイメージが浸透しています。確かに2019年の男女平等ランキングを見ると、153カ国中の日本の121位に対し、ドイツは10位でした。アイスランドやスウェーデンなどと比べるとおくれをとってはいるとはいえ、ドイツは世界の中でも男女平等が進んだ国だといえるでしょう。

そのため筆者を含むドイツ人は「男女平等が進んでいない国」に対して厳しい見方をしがちですが、そのドイツも「ついこの間まで」は実にひどい状況でした。

既婚女性が仕事をする場合、ドイツの法律では1977年までは「夫の同意」が必要でした。既婚女性が働く場合は職場に「妻が働くことに同意します」と書かれた夫からの同意書(証明書)を提出しなければなりませんでした。それというのも、ドイツには1977年まで「既婚女性は家事をする責任がある。既婚女性の仕事は家事や家庭に差し支えない範囲でのみ可能」という法律があったからです。

ところで先ほど「専業主婦である妻に微々たるお金しか渡さないドイツ人の夫」の話を書きましたが、1958年までは法律上、夫のみに妻や子に関する決定権があったため、妻が外で働いている場合も「妻の給料は夫が管理する」ことが普通でした。

日本と比べると、今もなおドイツでは金銭にシビアな男性が多いのは、あの頃の名残なのかもしれません。

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