世界が中国の「経済的恫喝」に屈しない為の知恵 国際ルール整備や依存度低下、有志国連携カギ

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「経済的恫喝」に対応するために有志国が連携する方法としてはさまざまなやり方がありうるが、強固で機能的な連携を達成する手段として「自由連合基金(Freedom Alliance Fund)」の設立を提案したい。

「自由連合基金」は、価値観を共有する有志国が参加し設立。各国が中国との経済的関係の深さに応じてプレミアムを支払い、「経済的恫喝」事象が発生した場合には基金から推定被害額を上限に、被害国への資金供与が行われるという仕組み。

価値観を共有する国々が希望に基づき参加するオープンな基金とするが、例えば、「自由で開かれたインド太平洋構想」を支持、あるいはそれと連携するようなアジア・欧州を含めた多数の国々の参加が想定されよう。

プレミアムを中国との経済関与の度合いに応じて決めるのは、モラルハザードを避けるためである。中国の「経済的恫喝」は、貿易、投資、観光など、中国との経済的関与を逆手にとって行われる。

「自由連合基金」は「経済的恫喝」の悪影響を和らげるためのものだが、本措置により結果的に中国リスクが軽減し、中国との経済的関与が深化するのは不適切であり、こうしたモラルハザードを避けるためにプレミアムは中国との経済関与の度合いに基づくべきであろう。

なお、各国は必要なプレミアムを、中国との経済関与の度合いに応じて自国企業等から徴収することで、企業のモラルハザードの防止と国家財政への中立性(負担ゼロ)を達成できる。

2段階で考える「経済的恫喝」への対応

「自由連合基金」は、中国の「経済的恫喝」への対応を2段階で考える。1段階目は、被害を受けた対象国からの申請に基づきメンバー国が協議を行い、「経済的恫喝」を認定し公表する段階。被害を受ける対象国は、有志国との連携がなければ非対称な経済力の中で厳しく孤独な状況に置かれる。

1段階目で行われるメンバー国による被害認定とその公表は、連帯(solidarity)の表明であり、被害国に正統性と勇気を与え、同時に中国に対してレピュテーション効果を通じて当該措置の継続を牽制する。

2段階目は、中国の「経済的恫喝」が一定期間継続した場合に被害額を算定し、それを上限に「自由連合基金」から被害国に資金供与を行う段階。実際に被害が生じるのは、酪農家や大麦農家や観光業者などだが、国内被害に関する情報と行政能力は当該国政府に比較優位があることから、「自由連合基金」は政府に資金を供与する形をとる。

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