遺言書保管制度が「普通の家庭」にも役立つ理由 未成年の子がいる親は作っておくのがベター

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遺言が有効となるための形式は法律で細かく決められているため、その形式を守らないとせっかく作った遺言書が無効になってしまうことがあります。それだけでなく、相続が発生した後に「本当にこれは被相続人の意思によらず作成を強要されたものなのではないか?」「偽造されたものなのではないか?」などと、相続人間で遺言書の有効性や解釈について争いになることも少なくありません。

このような争いを予防するためには、公正証書遺言を作成することが有効です。費用はかかってしまいますが、公証人が作成するため形式を誤って無効になることはないですし、証人を立て遺言者の意思を確認して作成するため、遺言者の意思能力や遺言の解釈の争いを未然に防ぐことができるのです。

しかし、未成年の子どもがいる親が、家族に無用な手続ききをとらせる手間から守るために遺言書を作成するのであれば、費用のかからない自筆証書遺言を作成すれば十分です。とても単純な内容の遺言書であれば、形式を誤って無効となる心配もないですし、そもそも相続人の間での遺産争いを防ぐ目的で作るものでないため、公証人の助けを借りる必要もないからです。

自筆証書遺言の作り方

先ほど例に挙げたケースのように、夫が自分名義の財産をすべて妻に相続させたいと考えた場合、以下の手順で簡単に遺言書を作ることができます(妻が自分名義の財産を夫に相続させたい場合も同様です)。

具体的には、A4用紙にボールペンで、
--------------------
遺言書
遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻〇〇〇〇(〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に相続させる。

〇〇年〇〇月〇〇日

住所 〇〇〇〇〇〇〇〇
遺言者 〇〇〇〇  印
--------------------
と書くだけです。

以下の5つのポイントだけ注意していただければ、誰でも簡単に作成できるはずです。

① 一度書いたら消すことができない筆記用具(ボールペンや万年筆)を使う。
②財産を「譲る」「遺贈する」ではなく、「相続させる」と書きます。不動産の名義変更の際に「譲る」「遺贈する」との表現では、妻が単独で登記名義の申請をできなくなる可能性があるからです。
③必ず、遺言書を作成した年月日を書きます。「吉日」などの記載は認められません。
④必ず、署名と捺印をします。印鑑は、実印があれば実印が望ましいですが、認印でも問題ありません。
⑤記載を誤った場合には訂正印を用いて訂正することもできますが、改めてすべてを書き直したほうが無難です。
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