流出から1年、ビットポイント社長は改心したか 30億円分の暗号資産はなお行方がわからない

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――「ビットポイント台湾」の合弁相手がBPJを相手取り、2019年8月に損害賠償請求訴訟を起こしています。BPJの不正流出によって損害を受けたほか、台湾の顧客に暗号資産取引を仲介する際にBPJに過剰な代金を請求されていたなどと主張しています。

10億円を請求されているが、裁判で負けることはないと思っている。先方は10億円の損害が発生しているというが、どういう理由に基づいているのかが明確にされていない。その点は訴訟が起こされている東京地方裁判所の担当裁判官も指摘している。

完全な安心・安全は存在しない

――暗号資産交換所を運営するうえで、流出・盗難リスクは切っても切れないのですか。

頭ではわかっていたが、「完全な安心・安全」はないのだなと改めて思った。一方で、当社に新しく入ってきたメンバーなどに言わせると「ここができていない」という部分がまだまだあった。

おだ・げんき/1980年生まれ。東京大学在籍時に学生起業、その後に事業売却資金を元手とし投資活動を始める。2012年リミックスポイント取締役。2016年リミックスポイントとビットポイントジャパンの社長に就任(記者撮影)

私は今、社内の「情報セキュリティ委員会」の議論には参加しないようにしている。その場にいると、どうしても「問題はない」という意見を聞いてしまいがち。今は委員会で決まったことをそのとおり実行する役割に徹している。

――親会社であるリミックスポイントは2016年に設立したBPJに対して、これまでに70億円弱の資金を投じた計算になります。他方、BPJの2020年3月期決算は53億円の最終赤字でした。リミックスポイントからみて割に合った投資といえますか。

たしかに直近2期は大きく赤字となっているが、2018年3月期は24億円の最終黒字だった。また、2018年の春に香港企業がBPJへの出資を検討(出資話は2018年8月に白紙に)した際につけたBPJの企業価値は250億円だった。「あのときに売っていれば」とも思うが。

現在の日本において暗号資産をポジティブに見る向きは少ないが、再び活況になるときが来るとみている。

海外でビットコイン現物の出来高は1日に6000億~8000億円ある。「仮想通貨バブル」と言われた2017年12月~2018年1月には、日本だけで2000億円くらいの出来高があった。その頃は世界全体の出来高が4000億円だったので日本だけで半分を占めていた。

日本以外の海外では出来高が増えており、特にアメリカでは機関投資家が本格的にビットコインへの投資を始めている。日本は圧倒的に個人による投資だと現地の人に話したら、「それは意外だ」と言われるほどだ。

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