レジ袋有料化で「海洋プラごみ」は解決するのか 全プラごみの2%を減らすことの意義は?

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──さらに別の厄介さも……。

拾えないごみ、つまり清掃ボランティアも見過ごしてしまう“拾われないごみ”になりがちなことです。風雨にさらされ劣化しボロボロになったレジ袋は、砂に埋もれたり、草の根元に絡みついて引っ張るとちぎれてしまったり。放置された先は海です。拾えないプラごみの代表がレジ袋と、5ミリ以下に小粒化したマイクロプラスチック。マイクロプラスチックも砂や小石に交じれば回収できない。

『海洋プラスチック 永遠のごみの行方』(写真をクリックするとアマゾンのサイトへジャンプします)

海の生き物が間違ってマイクロプラスチックを食べ、その生き物を食べる私たちもマイクロプラスチック片を摂取してるのは確実です。マイクロプラスチックがさらに劣化し削られたナノプラスチックの存在も指摘されているし、繊維状のマイクロプラスチックもある。室内で舞い上がるほこりがそうだし、フリースを脱ぎ着するときもたくさん吸い込んでるはずですよね。

取り込まれたプラごみがどういった影響をもたらすかについては、実験で生き物に大量に与えたら運動が不活発になったとか、体内に油分が残留していたとかさまざまな研究結果が報告されてますが、まだ統一見解には至ってない。とくに人体への影響はまだ解明されていません。

プラごみ問題と地球温暖化は似ている

──そのマイクロプラスチックのホットスポットが東アジア海域、というのが不気味ですね。

気持ちのいい話じゃないですね。

プラごみ問題というのは地球温暖化とよく似てると思う。よくないことは頭ではわかるんだけど、実感としてつかめない。近年日本では毎年のように豪雨災害が起きていて、何かがおかしいとみんな思ってる。地球温暖化のほうがまだ人々の気づきが早いかもしれない。プラスチックについてもっと話題にすれば、「そういえば、身の回りにプラスチック多すぎるよね」とみんな思い始めるかも。

大事なのは、やはり1人ひとりが関心を持ち続けることです。プラごみ問題をどうするか判断するのは科学者でなく、社会の将来に決定権を持つ私たち。さあどうする?と判断を迫られたときのために、アンテナの感度を高めておきたい。温暖化もプラごみも、大きすぎて全然等身大じゃないし、未解明な点が多いし、マイバッグ程度で本当に減るのかとかモヤモヤ感が残る。できるだけ事実に基づいて整理をし、自分なりに納得して行動したいと思い、この本を書きました。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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