レジ袋有料化で「海洋プラごみ」は解決するのか

全プラごみの2%を減らすことの意義は?

この間、どの添加剤をどう混ぜるとどう品質性能が高まるか、ものすごいスピードで研究されました。今度、それをどう捨てるかについては社会が関わってくる。廃棄コストが半分になりますといっても、社会が振り向いてくれなければ、その研究は意味がないことになる。その辺のモチベーションが廃棄研究では上がらなかったのかもしれない。欲しいものを買うときは気分が高まるけど、捨てるときは高まらないのと同じですね。

──実は、レジ袋が全プラごみに占める割合は2%に満たないとか。

市民が出すごみで厄介なものの1つがレジ袋であることは確かですね。もととなる原油の使用用途のうちプラスチックは3%、レジ袋はそのごみのさらに2%といってしまえば、ごくごくわずか。でも地球環境を考えたら、やらなければいけない。私たち1人ひとりの力は小さいけど、その小さい力を出し合わなければ。まずは始めてみようという気持ちになることです。自分たちがさんざん汚しといて、後はよろしくって子ども世代に丸投げするのも嫌ですしね。

「魔法のプラスチック」はない

──マイバッグも、繰り返し使用しないと、二酸化炭素排出量の面ではレジ袋を上回ってしまう。

保坂直紀(ほさかなおき)/1959年生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科/大気海洋研究所特任教授。東京大学理学部卒業。同大大学院で海洋物理学を専攻、博士課程を中退し、85年読売新聞社入社。在職中、科学報道の研究により東京工業大学で博士(学術)を取得。2013年同社退社。(撮影:梅谷秀司)(撮影:梅谷)

100%ポリエステル製だと、原料採掘から焼却までにレジ袋の50倍の二酸化炭素を排出してしまう。つまり50回繰り返し使ってトントン。10回で飽きて捨てたら、かえって環境に悪いってことです。

今回のレジ袋有料化では、植物などから作られるバイオマスプラスチックが25%以上含まれていれば有料化は免除されました。ただここで要注意なのは、バイオマスプラスチックは、土の中や海に放置されたとき自然に分解が進む生分解性プラスチックとは別物だということ。光合成で植物が体内に取り込んだ二酸化炭素は焼却時に出ていくのでプラマイゼロ。

地球温暖化対策にはなる。でもプラごみ削減にはなりません。しかも、複数種類のプラスチックが混じっているので、リサイクルには不向きです。生分解性プラスチックにしても、分解されるにはさまざまな条件を満たす必要がある。魔法のプラスチックではないのです。

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