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 重電分野でも日本勢は活躍している。その主な舞台は地域経済大国である南アだ。07年、日立製作所は南アの石炭火力発電所用ボイラー設備を2件立て続けに受注。高地での利用に耐える高性能ボイラーは12基、合わせて約5700億円にもなる。

日立は03年、南アの総発電容量の40%相当のボイラーを納入したドイツ企業「バブコックボルジッヒパワーシステムズ」を買収しており、“実績”は申し分ない。この蓄積を引き継ぎ、05年にヨハネスブルクに現地資本との合弁会社を設立。現地密着での事業展開を進めている。

電力不足に悩む南アでは今後20年で4000万キロワットの発電所建設が計画されている。そのため、その先駆けのメデュピ、クシレに興味を示した企業は少なくなかった。しかし、現地調達率などの条件をクリアし応札できたのは日立と仏アルストムの2陣営のみ。結局、日立がボイラー部分を、アルストムがタービン部分を受注することで収まった。

首尾よく受注はしたものの、現場の苦労は絶えない。2案件とも「現地調達率61%以上」をクリアする必要がある。ところが、南アでは民主化前の90年代初頭に最後の発電所が建設されてから20年近く経過している。現地企業には保守のノウハウはあるが、発電所を新設した経験がない。そのためボイラーの部品を作る現地企業に対し、工場建設の段階から指導する必要があった。

さらに、南アの電力公社エスコムが担当する建設工事が技術的課題、賃上げストなどにより遅延。メデュピの運転開始時期は約1年延期された。クシレは正式な延期通告こそないが、同様の遅延は必至。ただ、「遅延によるコストアップ分をわれわれが被らない形で交渉を進めている」(日立製作所電力システム社ボイラ事業部の岡山正義事業部長)。両案件とも、満足できる利益率を確保できる見通しではある。

メデュピでは10年1月から現地でのボイラー建設が始まる。初号機が運転開始する12年度以降、2案件合わせて5年程度は年間約1000億円ずつ売り上げを計上できる見通し。日立のボイラー売り上げの2割前後を南アが占める計算だ。もちろんクシレ以降の発電所建設計画でも受注獲得を目指している。南アはしばらくの間、日立のボイラー事業の中心地になりそうだ。

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