GWの海外旅行、感染症の落とし穴に注意 W杯、慣れぬブラジルの地で体調を崩さないために

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黄熱ワクチンは、接種を受けてから体内に抗体ができるまで2週間程度かかり、実施している医療機関も国内では25カ所と限られている。そのため、東京医科大学病院渡航者医療センターでは、今年4月時点で、ワクチン接種希望者の受診で混雑しているという。黄熱ワクチンでの予防が困難な場合は、虫除け剤を使用するなどして、蚊から身を守ることが最善策となる。

「ブラジルへの渡航では、食物などから感染するA型肝炎のワクチン、さらには、傷口などから感染する破傷風のワクチンの接種も推奨されています。私自身、レシフェのサッカー場に行ったことがあるのですが、興奮したサッカーファンが、瓶を下に投げつけるようなシーンに出くわしました。ケガをしたときに、破傷風にはなりやすいのです。20歳ぐらいまでは、乳幼児で受けたワクチン接種で抗体を持っていますが、年齢が高くなるにつれ抗体価が低くなり、中高年以降は破傷風のリスクが高くなります」(同)。

予防の4原則

GWやFIFAワールドカップなどで海外旅行に出掛けるときの予防策を濱田教授に教えてもらった。

1デング熱などの流行地域では、虫除け剤を使用して蚊に刺されないようにする。虫除け剤は、DEET(忌避剤)成分含有量が高いほど、長時間効果が得られやすい。日本製のDEETは12%程度までだが、海外には20%以上含有の虫除け剤があるため、現地で調達するとベター。

2生水や生食は避ける。A型肝炎ウイルスに感染するだけでなく、旅行者下痢症に悩まされることがある。飲み物に入っている氷や、カットフルーツにも要注意。

3現地の動物(特に野生動物)には近づかない。場所によっては、さまざまな感染症を持つコウモリもいるため、洞窟探検にも注意が必要。

4ピアスの穴開けなど、美容行為でも感染症にアタックされることがある。衛生状態が悪いところでは、受けないようにする。

「日本はまだ春の陽気ですが、海外では非常に気温が上昇している地域もあります。ワールドカップのクイアバは、ちょうど、ワールドカップ開催時期は乾季で、フライパンの上に立つような暑さと言われています。帽子は欠かさずに持って行きましょう。また、脱水症状を防ぐために水分補給も心掛けてください。ガス入りのミネラルウォーターは、炭酸ガスにわずかな殺菌効果があるためおススメです。ただし、開発途上国でミネラルウォーターを購入するときには、欧米の銘柄で、蓋がきちんとしまっているものを選ぶようにしましょう」(同)。

万全の予防対策で、海外旅行を元気に楽しもう!

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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