「レジ袋有料化」割れたコンビニと外食の対応 コンビニはそろって有料、外食は無料を継続

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これに対し、新型コロナ影響でテイクアウトが増えている外食企業は、有料化対象外のレジ袋を利用することで顧客への無料配布を続ける大手企業が目立つ。

牛丼チェーン大手の吉野家は、テイクアウト用の袋をバイオマス素材が含まれた袋に変更し、無料提供を継続する。顧客持参のマイバッグだと、バッグ内での容器の安定性がまちまちになるからだ。

負担増でも価格は据え置き

吉野家のテイクアウト用の容器はコンビニ弁当のように十分に密閉されておらず、味噌汁など汁物の容器が倒れたりするおそれがある。レジ袋購入の必要性の説明に時間がかかり、コロナ対策という観点からも無料配布を決めた。

牛丼チェーン大手の吉野家は、バイオマス素材が含まれた袋に変更した(写真:吉野家)

回転ずしチェーンのくら寿司も、バイオマス素材配合の袋に切り替えたうえで無料配布を継続する。「すしは水平に持ち帰る必要があるが、容器がマイバッグに入らない。顧客に選択の余地がない」(同社広報)と理由を説明する。

完全に石油由来のレジ袋からバイオマス素材配合の袋に変更することで、仕入れ費用は1枚当たり1円弱程度増えるとみられる。素材変更はコスト増だが、2社ともに商品価格の変更などは行わない。

くら寿司は、「数円値上げするのもどうかと思うので、コスト増は企業努力で吸収していきたい。持ち帰りが注目される今、レジ袋を有料にはしたくなかった」(広報)と胸の内を明かす。

ただ、投資家は環境問題に対する企業の姿勢に厳しい視線を向けている。環境と社会、ガバナンスを考慮するESG投資への意識の高まりは世界的な潮流だ。セブン&アイHD広報は「(今回のレジ袋有料化は)環境負荷軽減が一番の理由だが、ESG投資など世界の流れは社会からの評価基準として無視できない」と話す。

環境問題に向き合いつつ、事業をどう継続させていくのか。各社のバランス感覚が問われている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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