都知事選、「焦点はすでに2位争い」で浮かぶ思惑 優勢の小池知事、「目標は300万票」に高い壁

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一方、NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏は、一定の選挙基盤を持たず、選挙用語でいう「独自の戦い」との位置づけだ。実業家でタレントの堀江貴文氏の名を借り、「ホリエモン新党でコロナ自粛をぶっ壊す」とのキャッチフレーズを掲げ、SNSをフル活用したゲリラ活動を展開している。参院選でのN国公認候補が獲得した約13万票にどれだけ上積みできるかが焦点だ。

こうした選挙戦は、「小池氏が描いた通りの構図」(自民幹部)ともみえる。国政選挙も含め、これまでの小池氏の選挙戦術は「果敢に強敵に挑む攻めの空中戦」(選挙アナリスト)だった。しかし、今回はコロナ対応最優先との立場からオンライン選挙に徹するなど、「これまでとは真逆の守りの選挙」(同)を展開している。

SNS上は山本氏が圧倒

小池氏は告示前日の日本記者クラブの候補者共同会見には登場したものの、民放テレビなどが企画する候補者討論会への参加は断っているとされる。「これも小池氏のしたたかな戦略」(自民都連)とみられている。各メディアが都知事選を積極的に取り上げない中、小池氏だけが連日、コロナ対応でテレビ画面などを通じて都民に呼び掛けているからだ。

ただ、SNSでの動画配信などでは、山本氏の街頭演説のライブ中継の視聴者の多さが、小池氏も含めた他候補を圧倒している。小池氏のSNSなどでのアピールは「何もひきつけるものがない」(れいわ関係者)との指摘も多い。

肝心のコロナ対策でも、小池氏が「東京アラート」を解除したにもかかわらず、ここにきて新規感染者数は高止まりが目立っている。小池氏は「第2波の状況ではない」と言い張るが、収束とは程遠い状況が続くことで、都民の不安や不満が拡大している。

究極のイメージ選挙の都知事選は「最後まで何が起こるかわからない」(都選管)とされる。「投開票日の7月5日夜に誰が笑い、誰が泣くかは、まだまだわからない」(選挙アナリスト)のが実態のようだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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