中国、上場を取りやめる企業が続出 株式公開をめぐる、不透明感を嫌気

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4月21日、中国では、新規株式公開(IPO)をめぐる証券監督当局の方向性が見極められず、今年の本土での上場を取り止める動きが相次いでいる。安徽省合肥の証券会社で2月撮影(2014年 ロイター)

[上海 21日 ロイター] -中国では、新規株式公開(IPO)をめぐる証券監督当局の方向性が見極められず、今年の本土での上場を取り止める動きが相次いでいる。

中国の新規上場申請は、証券監督管理委員会(証監会、CSRC)が引受業者に申請書類を再度更新するよう命じたことを受け、過去8週間行われていない。投資銀行関係者によると、新たな基準の内容が明らかにならないことにしびれを切らし、上場をあきらめる企業が多いという。

CSRCの方向性が見えず、上場が認められる企業の見通しもたたないことから、IPOの再開は早くても5月の初め以降になる公算が大きい。

2012年以降1年2か月事実上凍結されていたIPOの再開で、約400億ドルの新規発行が実現し、大幅な利益が見込めると期待していた投資銀行や引受業者にとって、遅々として進まない状況は痛手だ。上場による資金調達を待ち続けている数百社にとっても、悪材料であることは間違いない。

北東証券(上海)のアナリスト、Du Changchun氏は「上場再開は年央になると思う。改革の進展や決算発表を考えると、早急には実現しないだろう。これらが片付いても、四半期や年間の報告書のような追加資料の提出が求められる可能性がある」とみている。

CSRCが4月に公表したデータによると、年初来で上場申請を取り止めた企業は24社以上にのぼる。

CSRCは先週引受金融機関に対し、上場を希望する企業のIPO申請書類を最新の内容に更新するよう指示。一部報道のIPO凍結観測を否定した。

これを受け中信証券は先週顧客向けリポートで、IPO承認手続きが予想より早期に再開される可能性があると指摘。5月初めの再開に言及した。

こうした不透明な状況は、当局が一度方向を定めればすぐに解決する。CSRCは1月と2月に約50社の上場を承認し、2012年以来の事実上のIPO凍結が終了した。

これより先には、IPO手続きを米国のような登録ベースに変更する方針が打ち出されている。投資家の間では、今年の大量のIPOに備えた動きとの期待が高まった。

しかしその後政府は計画実施には時間がかかると強調。規制を強化する動きが続いている。

市場では、こうした状況は生みの苦しみで、中国株式市場の成熟化において避けて通れない問題との見方もある。

チャイナ・ファースト・キャピタルのピーター・ファーマン会長は「中国はあらゆる適切な段階を踏んでおり、それに伴う問題が生じているだけ」と指摘した。

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