コロナ復活組は買い?新規上場銘柄の「値打ち」 公開価格の9倍も!一攫千金で投資家が殺到

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新規上場再開3社のうちIPO前から注目を集めてきたのがロコガイドだ。穐田誉輝代表はカカクコムやクックパッドの社長を歴任し、現在は「みんなのウェディング」「オウチーノ」などを運営するくふうカンパニー会長として株式56%超を保有する。女優・菊川玲さんの結婚相手としても話題を集めた。ロコガイドは2016年、クックパッドからMBO(経営陣による買収)で分離独立、穐田代表が株式9割超を保有するオーナー企業である。

IPOでは約47億円の公募増資を実施したが、穐田社長は保有株を放出することなく大株主であり続けている。4月に予定していた公開価格2640円でのIPOを取り下げ、今回は2000円に引き下げた再チャレンジが見事当たった。ロコガイドの上場日の終値は5310円をつけ、翌25日も一時6000円台まで上昇。時価総額は約560億円となり、クックパッドの約370億円を上回る水準で推移している(6月26日時点)。

運営しているのはスーパーやドラッグストアの特売情報やチラシの配信サービス「トクバイ」。2020年3月期の売上高14億円、営業利益3.4億円と利益率は高く、近年のスタートアップにありがちな赤字先行・期待先行組ではない。

この時期に再承認されたから、かえって”安心”

7月にかけてもIPOは続々と控える。11社のうち6社は“復活組”で、コロナの影響で一度取り下げてからの再チャレンジである。その大半が売り出し価格・株式数とも条件を下げており、資金を待機させていた個人投資家から熱い視線を集めている。

「コロナ禍を経て、IPOをしても、しっかりとした業績計画を出せる会社と評価されている」(いちよし証券の宇田川克己・投資情報部銘柄情報課長)のも人気の要因だ。3月以降にIPOを取り下げた会社は18社あるが、その中には不動産やスポーツジム、保育所など、コロナの影響を受けやすい業種も含まれる。だからこそ、あえて再承認された復活組には、アフターコロナ銘柄という安心感も含まれているようだ。

例年どおりなら、決算期の端境期となる8月に入ると、IPO社数は減少傾向となる。その後12月にかけて増加していくが、今年はコロナ感染の第2波も懸念される中で不透明感が漂う。一方で「ファンド満期を控え、多少は利益を減らしてでも、IPOで資金回収を急ぎたいVC(ベンチャーキャピタル)は多い」(VC幹部)との声もある。こうした中、2020年はIPO社数の減少が予想される中、注目企業の大型上場が出てくるかにも注目だ。

再び動き出したIPOの熱気は、さらに高まっていくのか。企業、ファンド 、投資家の思惑に加えて、コロナという未知の存在が市場の行方を揺さぶっている。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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