この銘柄は、上がるのか、下がるのか。先行きの視界が極めて不透明な今、投資家は何を頼りに株式市場に参加すればいいか、不安だろう。
6月26日(金)に発売した『会社四季報』2020年3集夏号は、コロナ禍で混乱の渦中にある企業の状況を網羅した内容となった。3月期決算企業の約6割が2021年3月期業績見通しを「未定」とする中、会社四季報の業界担当者記者が取材に奔走、今期・来期の業績予想を独自に見直した。
5月25日に緊急事態宣言が解除された後も、国内における新型コロナウイルスの感染は完全収束には至っていない。今号の四季報の独自予想は、年度内に「第2波」は来ることがない前提に立っているが、すぐに元通りになるとも考えにくく、警戒モードが続く渦中で年後半にかけて徐々に戻していく、という想定だ。そのため、コロナの打撃を受ける企業の業績は前半苦戦、後半持ち直すものの、通期ベースで見ても前期比で減収減益という予想が多くなっている。
見出しは「反落」「続落」などネガティブが目立つが…
夏号の集計では、全産業の今期(20年4月期~21年3月期、対象3360社)予想営業増益率は、マイナス16.0%となっている。前期実績はマイナス23.7%だったので、2期連続で大幅減益となる見込みだ。
各銘柄の記事の【見出し】ランキングでも、こうしたトレンドを反映してネガティブワードが上位を占めた。15位内でポジティブな見出しは、【堅調】(13位)、【反発】(15位)のみ。ニュートラルな【横ばい】(5位)、【横ばい圏】(7位)以外の残りはすべてネガティブワードで、1位は【反落】、2位は【続落】となった。
こうした状況下では、いかに手元資金が豊富で苦境に耐えられるかが、重要な指標となる。会社四季報では毎号テーマを変えて特集を企画しているが、今号の特集のテーマの1つは「ネットキャッシュ」だ。ネットキャッシュとは、直近決算期の期末時点の手元流動性(現預金+短期有価証券)から、有利子負債と前受金を引いて算出される。いわば企業が自由に使える、返済する必要のない手元資金の額を意味している。
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