トランプ大統領再選の可能性はもうないのか 勝敗を分けるポイントは明確になってきた
2020年大統領選では、オバマ・トランプ投票者が、いまだ変革の途中と位置づけてもう4年間をトランプ大統領に託すのか、またはエスタブリッシュメントのバイデン氏に破壊されたものの再生といった変革を求めるのかが注目される。
また、特に大統領のコロナ対策の失敗に辟易している高齢者、そして2018年中間選挙でトランプ大統領に抵抗する主旨で民主党に票を入れた郊外に住む高学歴の白人女性など、伝統的な共和党支持者の支持離れの動きも大統領にとっては要注意だ。
前述のNBCニュース・WSJ紙世論調査によると、国民の80%は国が制御不能に陥っていると捉えている。昨今、「トランプ疲れ」という言葉がアメリカ政治専門家の間で囁かれるようになった。ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の回顧録や近く発売される予定のトランプ大統領とは犬猿の仲にある姪メアリー・トランプによる暴露本で、党内からもトランプ大統領はリーダーとしての資質を問われている。チェンジの機運がますます高まるのではないか。
3つめの点について見ると、2016年大統領選ではヒラリー・クリントン候補の当選を妨げた大きな要因として、ゲーリー・ジョンソン候補やジル・スタイン候補といった第3党の有力候補がクリントン氏から民主党支持者の票を奪ったことがある。
同選挙では、クリントンとトランプ両候補以外の候補者の得票率が約6%にも上った。しかし、2020年大統領選では一定の票を集められる他の候補者がいない。2大政党候補以外の得票率はこれまでの多くの大統領選と同様に3%程度に抑えられ、バイデン氏がその恩恵を享受する可能性が高い。
仮にこれら3つの構図が11月大統領選まで持続すれば、バイデン氏は大統領選を制するに違いない。
バイデンを嫌いな人は多くない
また、2020年と2016年の大統領選の大きな違いもある。NBCニュース・WSJ紙世論調査では、2016年6月時点でトランプ候補の不支持率は60%(うち48%が極度の不支持)であったのに対し、クリントン候補の不支持率は55%(うち43%が極度の不支持)とほぼ拮抗していた。いわば、どちらが嫌いか、という選挙でもあった。
しかし、2020年6月のトランプ大統領の不支持率は51%(うち45%が極度の不支持)であるのに対し、バイデン氏の不支持率は38%(うち26%が極度の不支持)にすぎない。つまり、今回は4年前と違ってどちらの候補をより嫌うかを選択する選挙とはならないだろう。
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