次の民主党「副大統領」かつてないほど重要な訳

バイデンにとっては副大統領以上の存在に

しかし、東海岸の小さな州出身で77歳の白人男性であるバイデンは、若者、女性、有色人種、東海岸以外の地域の有権者の間で支持を高める必要があることにも民主党は認識していた。

こうした基準に基づけば、最も適格な人物はカマラ・ハリスであるかもしれない。ジャマイカ出身の父、インド出身の母を持ち、ハワード大学(アメリカの名門黒人大学)の卒業生であるハリスは、若者、女性、有色人種からの票を集めることができるとみられ、出身もカリフォルニア州だからである。

しかし、 カリフォルニア州司法長官を務めていた時のハリスの経歴は彼女にとって不利に働くかもしれない。その経歴に鑑みると、アメリカの司法制度の根本からの改革を求める者たちはハリスでは革新性が不足していると考えているという声があるのだ。加えて、カリフォルニア州は強固な民主党の支持基盤であり、トランプではなくバイデンに投票することがすでに確実視されている。

さらに、バイデンが過去にスクールバシング(居住地域や人種に関係なくスクールバスでさまざまな地域の学校に子供たちを通学させることで人種差別や隔離を解消しようとした試みのこと)に反対していたことを、2019年7月5日にテレビ放映された民主党予備選挙の討論会で取り上げてバイデンを批判したハリスのことを、妻であるジルを含め、バイデンの側近たちの一部は許していないとされている。

激戦区で勝つためには

票を上積みするために、バイデンは以下の重要な激戦州を勝ち取るために助けとなる大統領候補を選ぶことが重要だと決意する可能性がある。

ホイットマー州知事の出身州であるミシガン州では、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンがトランプにわずか1万票の差で敗れている。ボールドウィン上院議員の出身州であるウィスコンシン州では、2万2000票でクリントンがトランプに敗北。同じく激戦州のフロリダ州は、デミングズ下院議員の、ジョージア州はエイブラムスとボトムズ市長の出身州である。

仮に若いアフリカ系アメリカ人による投票数を増やすことが重要だとバイデンが考え、特に「ブラック・ライブズ・マター運動」の緊急性に鑑みるならば、エイブラムス、ボトムズ、デミングズ、ハリス、あるいはライスを副大統領候補として選ぶことにするかもしれない。ただし、エイブラムスとボトムズは国政における経験がなく、ライスは一度も公選職に就いたことがない。

ジミー・カーター元大統領(1977〜81)の下で副大統領を務めて有名となったウォルター・モンデールはよく現代の副大統領のモデルとして讃えられる。内政と外政の両方において山積みである複雑な問題の数々にバイデンが大統領として直面することを考えれば、カーターがモンデールに対して行ったように、主要な問題や責任を任せることのできる副大統領を選びたいとバイデンは思うだろう。

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