甚大化する水害に今からできる「自宅」の備え 大型台風・集中豪雨にどんなリスクがあるか

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(2) 家の基礎を高くする(高床)

床を柱で上げて高くする方法や鉄筋コンクリート造の基礎部分を高くする方法がある。

(3) 防水性の塀で家を囲む

敷地の周囲に塀を設けて浸水を防ぐ方法。出入りする開口部に段差ができるが、開閉可能な防水性の門扉をつける方法も。

(4) 防水性の外壁を設ける(建物防水)

建物自体を防水性のある建材などで囲む方法。玄関などの出入り口に止水板を設けることも必要に。

ほかにも、コンセントを高い位置に配線したり、給湯器などを高い位置に設置したりして、設備機器を守ることも必要だ。

水害に遭ってしまったら?

万一、水害で被災してしまった場合はどうしたらよいのだろう?

まずは、生活再建までの見通しを立て、仮住まいの場所を決めることになるが、さまざまな支援を受けるために、被害の程度を残しておくことも大切だ。被害の様子(浸水した深さや室内の被害の状況)がわかるように写真を撮っておくとよい。罹災(りさい)証明書を申請するときや保険金を請求するときに役に立つからだ。

加入している火災保険の保険会社はもちろん、戸建てなら売り主や施工会社、マンションなら管理会社などにも被災したことを連絡しよう。また、自治体に被災したことを申し出て、罹災証明書について相談しよう。

浸水した住宅については、浸水で使えなくなったものを片付ける必要がある。被災ゴミなどの捨て場所を確認し、できるペースで片付けていこう。その際には、マスクやゴム手袋を身に着けて、感染症を予防するためにうがいや手指の消毒も忘れずに。

住宅については床下など浸水被害の状態を確認して、工務店やリフォーム会社などのプロやボランティアなどの力も借りて、床下の泥の除去や乾燥、消毒などの作業を行うのがよい。すべて自分でやろうとすると見通しが立たないし、乾燥や消毒が不十分だとカビが発生するなどして、住宅が傷むことになるからだ。

こうした説明をしていくと、不安になってしまうかもしれないが、まずは住宅の水害リスクを確認しよう。リスクが低ければ、雨水の排水と飛散防止など最低限の備えで十分な場合もある。水害に関する正しい情報を多く集めること、これに尽きるだろう。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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