甚大化する水害に今からできる「自宅」の備え 大型台風・集中豪雨にどんなリスクがあるか

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さて、土砂災害とは、斜面にたまった土砂が水と一緒に一気に流れ落ちる土石流や、地面にしみ込んだ水分で土の抵抗力が弱まり、斜面が突然崩れ落ちる崖崩れなどが発生することだ。早いスピードと強い破壊力で土砂が流れ込み、最悪の場合は住宅が押しつぶされてしまう。

では、河川が氾濫するなどして、住宅に浸水した場合は、どうなるのだろう?

まず、戸建てで考えると、比較的浸水が浅い床下浸水(基礎~50cm未満)では、床下に汚泥が流入する。自動車やバイクが駐車していた場合は、それも浸水してダメージを受ける。可能であればあらかじめ、家財などを上階に移動させたり、自動車を高台に移動させたりして被害を軽減化する必要がある。床下浸水してしまった場合は、被災後に床下を掃除して泥を除去し、消毒する対応が発生する。

床上浸水してしまうと…

次に、戸建てで床上浸水(50cm以上〜1m未満)すると、畳やフローリングが浸水し、床や壁の断熱材が吸水してしまう。家具家電なども浸水で使えなくなる。コンセントが浸水すると漏電や停電する場合もある。被災後は、家屋内を清掃して消毒したうえで、床・壁・床を取り替える対応が発生する。街には土砂や災害ごみが大量発生して、衛生状態が悪化する場合もあるだろう。

さらに床上浸水が深くなると、天井やあらゆる設備機器が浸水し、避難生活を余儀なくされる。水の勢いで住宅が流出してしまった場合は、仮住まいや転居の必要が生じる。

一方、マンションで考えると、半地下住戸や1階住戸が浸水した場合は、戸建ての事例と同じような事態になるだろう。加えて、マンションの場合は共用部分への浸水が大きな問題となる。マンションによって異なるが、地下には駐車場や受水槽、エレベーターの機械室などが設置されている場合があり、浸水すると被害が大きくなるからだ。

地下に電気設備があったために、浸水で電気が停止して、混乱を極めた高層マンションもあった。これを受けて国土交通省では、「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を設置し、2020年6月19日に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」をとりまとめている。

このように生活インフラにかかわる共用施設が浸水して稼働しなくなると、マンション全体が停電したり、エレベーターが停止したり、給水が停止したりする場合がある。つまり、居住者全員の生活に支障を来すことになる。自分の住戸は高層階だからという問題ではないのだ。

浸水被害は日常生活に支障を来したり、財産や命を奪ったりするリスクがあることを、肝に銘じておこう。

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