「期待以上と思われる人」が人知れずしている事 圧倒的な「当事者意識」がそこにはある

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もちろん初めは教えてもらいながら進めてもいいと思うのですが、自分の段取りを自分で決め、自分の進め方で、自分のプランを、自分の企画としてやってみるということは、プロフェッショナルの土台ですし、いつかフリーになりたい・起業したいと考えているなら、必須のことだと思います。そして、やってみて「わからない」「うまくいかない」というときに報・連・相をする。すると、少しずつ自分で仕事が回せるようになっていきます

エンパシーの高い「気づける人」が優秀な理由

最後に、「できる人」になるヒントを紹介しておきましょう。

「ファストフード店でハンバーガー買ってきて!」と言われたら、どうしますか?

そのまま買ってくるのは間違いではないですが、「できる人」は仕事の仕方が少し違います。

Googleの元人事トップのラズロ・ボックは、よくフレンチフライ・エフェクトの話をしていました。どういうことかというと、「ハンバーガーを買ってきて」と頼まれたときに、頼まれていないフレンチフライと飲み物も一緒に買っておく、そんなレベルの仕事をしなければならないという話です。

これは要するに、エンパシー ──相手も気づいていない、潜在的なニーズを把握すること──の重要性を説いています。

言われたことに対して期待値以下の仕事をするのは問題外ですが、言われたことを、言われたとおりにやっても「普通の人」です。

仕事ができる人は、相手の立場に立って、何が欲しいのかを予測して動きます。求められていることを見極め、どんな付加価値をもたらすことができるのかを考えて動くからこそ、期待値以上の仕事ができるのです。

例えば、顧客が口に出していない潜在ニーズを先回りしたり、上司の解決できていない課題の解決の手助けをしたり、言われていないけれどその場に必要と考えられるものをさりげなく準備しておいたり。そんな自分ならではの付加価値をつけて、日々仕事をしているのです。潜在ニーズというと難しく思えますが、「広めの会議室をとっておいて」と言われたら「プロジェクターも必要ですか」と聞いてみるとか、そんなことで構いません。

誰かに仕事を依頼されたら「言われたこと」について「はい、わかりました」と動くだけではなく、「言われていないものは何か」を考えて動くほうがいいのです。例えば「目的は何ですか」と聞けば、自分がそれに対してどんなサポートができるかのヒントになりますし、複雑な問題なら「どこまでやればいいですか」「どんなふうにすればいいですか」と尋ねて相手の期待値を確認したうえで、「ここまでやると喜んでくれるんじゃないか」というレベルのものを出していきます。

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こうして、自分がどんな付加価値をつけられるのかをつねに考えていくことが、「できる人」の仕事のポイントだと思います。

迷ったら最初に、「ポテトとドリンクもいりますか?」と聞いておいてもいい。それだけで、「よく気づく人」という評価を得られるでしょう。「よい評判」は、期待値より高い仕事をすることで、ついてくるのです。

なお、このようなEQやエンパシーが高い人は、次の予測だけでなく、人との関係性や、自分と相手の価値を考えながら一緒に何ができるだろうかなど、さまざまなつながりの中で問題を解決していく「システムシンキング」にも長けています。今後の社会において、さまざまな価値観の中で、うまくやっていくためにも必要な思考能力だと思います。

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