ノムさんが感じていた「プロ野球界への危機感」 日本の野球をもっと盛り上げるための視点
サッカーとの差は開いていく一方
野球界の裾野を広げるには、子どもたちの野球の競技人口を増やしていくしか方法はないというのは、私のみならず、野球関係者みなが思っていることだろう。
日本の子どもの野球の競技人口(小学生と中学生の野球人口)は2010年から減少し始め、今では10年前の3分の2以下になっているという。
日本高等学校野球連盟(日本高野連)が2019年に発表した加盟校数と部員数の集計では、硬式野球の部員数は前年より9317人減少し、14万3867人となり、部員数の減少は5年連続になるという。
野球少年たちの競技人口が減っているのは、少子化の影響のほか、野球ができる環境と時間の減少、プロ野球中継の減少、競合するスポーツの増加などいろいろな要素が複合的に絡み合っているのだろう。とにかく、昭和のような野球一択の時代はもうとっくに終わっている。
以前、Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎さんとお話しする機会があり、川淵さんは「野球にはかないませんよ」と謙虚におっしゃっていた。しかし、競技人口はとっくの昔からサッカーに負けている。野球界がこのまま手をこまねいているだけでは、サッカーとの差は開いていく一方である。
野球の指導者になるためには、Jリーグのようなライセンス制度を取り入れたほうがいいと思っていたが、ようやく野球界も重い腰を上げ、2023年より、まずは学童野球(小学生の軟式野球)から公認スポーツ指導者制度が正式にスタートするという。
私が社会人野球のシダックスの監督を務めていた時代、指導者研修会なるものに参加したことがある。全国の社会人野球の指導者を集め、講師などを招いて研修会を行なうのだが、こういった「野球を学ぶ」という姿勢こそ、プロ野球界が見習うべきものだと思った。
オープン戦などで他チームのグラウンドに行くと、試合の前に相手の監督やコーチから采配や戦術、あるいは選手たちへの指導法などに関する質問攻めに合うこともしばしばだった。私はそこで、社会人野球に携わっている人たちのほうが、よほどプロ野球人よりも貪欲に野球を学ぼうとしていることを知った。
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