河井前法相夫妻、「逮捕でガス抜き」の皮算用 野党の追及は尻すぼみ、焦点は解散と人事へ
今後野党が河井夫妻問題を追及しても、安倍首相は「現在捜査中で具体的なコメントは控える」「任命責任は私にあるが、政治家の出処進退は本人の決めること」などとかわす可能性が高い。「そのまま時間が経てば、国民の関心も薄れる」(自民幹部)というわけだ。
与野党の論戦がほぼコロナ一色だった国会は、当初会期を延長せずに17日、閉幕した。野党はコロナ対応のための年末までの大幅会期延長を申し入れたが、与党は拒否。第2次補正予算に前例のない10兆円の予備費を計上し、「当面は第3次補正の編成の必要がない」(自民国対)のが理由とされる。
閉会中は野党の追及も尻切れトンボに
17日の衆院本会議で大島理森議長が国会閉幕を宣言すると、野党側は一斉に叫んだが、「予定通りの田舎芝居」(自民長老)とみられている。立憲民主の枝野幸男代表は「卑怯者、逃げるな」などと反発したが、与党が閉会中審査の毎週開催を約束したことで、内閣不信任案も出さなかった。
安倍首相は「閉会中でも求められれば、説明責任を果たす」と繰り返すが、時間やテーマが限られる閉会中審査では、野党の追及は尻切れトンボに終わる可能性が大きい。しかも、国会閉幕で与野党攻防が事実上の休戦状態となったことで、今後の政局は「衆院解散や党と内閣の人事を絡めた自民党内権力闘争に焦点が移る」(閣僚経験者)のは確実とみられている。
そうした中、政府と自民党内に大きな波紋を投じたのがイージス・アショアの突然の停止だ。河野太郎防衛相は15日、秋田、山口両県への配備計画を停止すると表明。迎撃ミサイルを発射した後、ブースターと呼ばれる推進装置を想定地域に確実に落下させられないことが判明したことが理由だ。安倍首相も16日、「これまで地元に説明してきた前提が違った以上、これ以上進めるわけにいかないと判断した」と方針転換を認めた。
事前の自民党への根回しがなかったことで、自民党が17日に党本部で開いた北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部(本部長・二階俊博幹事長)の会合でが異論や反発が噴出。二階氏は「国防の重要な問題を党と政府はともに進めてきたはずだが、今回は何の相談もなく一方的に発表された」と怒りを爆発させた。
しかし、河野氏は「年明けから問題があることがわかっていた」と強調。配備先となる山口県と秋田県は、それぞれ安倍首相と菅官房長長官の地元だけに、「河野氏がデータを突きつけて、首相や官房長官を説得した」(政府筋)との見方も出ている。計画は2017年末の日米首脳会談での合意を受けたもので、防衛省の現場は「突然、天から降ってきた配備計画」(有力OB)と戸惑いもあったとされる。
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