地方の高校生も海外大へ、大学生らが挑む変革 留学支援は無料、イベントで魅力伝える

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同様のイベントを全国で開く留学フェローシップが、特に力を入れているのは地方でのイベント開催だ。地方の高校では「地元の国公立大に進学するよう高校が指導しており、そもそも海外大学進学という道があることすら想像できなかった」と語るのは、アメリカ・ノックス大学の冨髙碧惟さんだ。

生まれも育ちも大分県という冨髙さんは、大分県立大分舞鶴高校の出身。高校2年生の時にAIG損害保険などが協賛する海外交流プログラム「AIG高校生外交官プログラム」に参加し、海外体験したことがアメリカの大学進学のきっかけになったという。

その後、留学フェローシップをインターネットで知り、夏のイベントに参加し、海外大という進路を選んだ。

地方出身者の海外大進学は少ない

「海外進学を目指す地方の高校生にとって、特に大変なのが情報の少なさ」と話すのは、アメリカ・コーネル大学の小林令奈さんだ。小林さんは静岡県立沼津東高校出身。「海外大の進学者は高校で初めてだったようだ」と話すように、地方での先例は少ない。

2019年夏には長野県で4泊5日のキャンプも開催した(写真:留学フェローシップ)

特にハードルとなるのが、海外大ならではの出願方法だ。

アメリカの大学の場合、①TOEFLなどの英語の能力試験②SATやACTなどアメリカの高校生も受ける統一の能力試験③高校の成績証明書④ボランティアや生徒会、部活動といった課外活動への取り組み状況⑤高校の教師などによる推薦状⑥自身の経験や考え、信念などについて論ずるエッセー⑦卒業生によるインタビューなどが課される。

特に重要視されるのがエッセーだ。生徒がどういった考え方を持っているか、授業や研究で貢献してくれそうか、教育方針と合うかなど、を大学側は読み解こうとする。エッセーも質問が1つと限らず、5問ほど課す大学もある。日本の大学ではなく海外大学になぜ進学したいのか。自分の体験や考え、強みをエピソードとともに文章で伝えるうえで欠かせないのが、冒頭で紹介した自己の価値観を知ることだ。

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