中国の広東省深圳市は、電気自動車(EV)など新エネルギー車の個人による購入を後押しするため、市政府独自の補助金を1台当たり最大4万元(約60万円)支給する。6月11日、深圳市発展改革委員会が発表したガイドラインにより、補助金の申請プロセスや支給条件などの具体的政策が明らかになった。
新エネルギー車への補助金に関しては4月末、中国財政省がEVを対象に1台当たり最大2万2500元(約34万円)を中央政府の財源から支給することを決めた。このため深圳市の住民が条件を満たすEVを購入すると、中央と地方の補助金を合わせて最高6万2500元(約94万円)が支給される。
中央政府と地方政府はもともと新エネルギー車普及に向けた補助金を出していたが、一定の政策効果があったとして2019年6月から中央の補助金を削減、地方では廃止していた。それを復活させるのは、新型コロナウイルスの流行で落ち込んだ消費の回復を狙う景気対策の意味合いが大きい。
テスラ「Model 3」は補助金なしのカラクリ
深圳市は補助金の申請資格も緩和した。以前なら深圳市の戸籍を持たない住民(訳注:中国では戸籍の登録地を自由に移すことができない)や外国籍の居住者は、深圳市で社会保険料を24カ月以上連続で支払っていなければ補助金を申請できなかった。しかし今回は、深圳の居住許可証を持っていれば誰でも申請できる。
しかしEVメーカーの立場で見ると、深圳市の政策は各社に平等な恩恵をもたらすわけではなさそうだ。市政府のガイドラインは、補助金の対象になるEVの技術的スペックを定めている。深圳市内の自動車ディーラーによれば、それは地元EVメーカーの比亜迪(BYD)を優遇する内容になっているという。
例えば、ガイドラインは補助金の対象となるEVの全長を4970mmから5200mmまでとしている。EVの性能とは何ら関係ないはずだが、次のようなカラクリがあるようだ。仮に住民が人気の高いテスラの「Model 3」を購入しても、全長が4694mmなので補助金支給の対象外とされる。しかしBYDの新型車「漢」を選べば、全長が4980mmなので支給されるのである。
なお、新エネルギー車への深圳市独自の補助金は2020年末で終了する。中央政府の補助金や自動車取得税の優遇措置は2022年末まで継続されることが決まっている。
(財新記者:鄭麗純、方祖望)
※原文の配信は6月12日
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