黒人記者が語る「抗議デモ」と「人種主義」 知らないうちに、死んでるのかもしれません

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

拡大

さて、現状はこうです。

白人の警察官が、無実で丸腰で手錠をされた男性を窒息死させ、それが映像に残っていても(警察署が丸焼けにされるまで)罪に問われないのです。これはとんでもない権力の乱用です。法による抑制と均衡の正義が裁判所で満たされないことが続けば、残された道はストリートの正義しかありません。

ストリートの正義はきれいごとではありません。保証します。

フェンスに座って傍観するなんてできない

人々は警察を軽蔑します。警察は責任を問われることなくぼくらを痛めつけ、良い警官ですら、黙って不正義を続けることはおかしいと声を上げることはできないようになっているからです。

人々は政府を軽蔑します。はっきりと大声で警察の暴力を非難せず、そうすることで暴力の黙認を匂わせるからです。

人々は企業たちを軽蔑します。心なく利益を手にするばかりで、ぼくらのお金は取るが、ぼくらの子供たちが、妻や夫が、友だちが、ぼくら自身が殺され、路上に転がっていても、助けてはくれないのならです。そういう企業たちは傍観し、ほとぼりが冷めるのを待って、いつものビジネスに戻るのです。

人々は白人たちを軽蔑します。その人たちが白人の特権に気づいていても、いなくても。黒人の友だちがいようが、全米黒人地位向上協会に寄付していようが、“Black Lives Matter”のバッジを買っていようが、ぼくらには関係ありません。人の心があれば、絶え間なく続く黒人に対する犯罪に嫌悪感を持ち、悲しみに暮れ、激怒するはずです。そうしないのなら、軽蔑に値します。そんな嫌悪感、悲しみ、激しい怒りがあっても、同じ人間として黒人を助ける行動をとらないのであれば、その人も黒人の首に膝を押し付けているのと同じです。

フェンスに座って傍観するなんて、もうできないはずです。世界のどこにいても、あなたは虐げる側と一緒にいるか、虐げられる側と一緒にいるか、どちらかなのです。

あなたが今ニュースで目にしているのは、文字通り、白人至上主義の社会を焼き落とそうとしている人々の姿です。そのシステムから恩恵を受けているはずの多くの白人たちでさえ、その特権が黒人に文字どおり膝を押しつけ、路上で窒息死させることで成り立っていることに、今やうんざりしています。

あなたは今まさに、アメリカの運命を見ています。もっと早く来たるべきだった、当然の報いを見ています。もしそれが見えないなら、そこに正義を感じることができないなら、日本よ、自分の心臓が動いているのか確認してください。

知らないうちに、死んでるのかもしれません。

(翻訳編集:小沢健二 翻訳:集合知和訳バトルロイヤル33人衆)

バイエ・マクニール 作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Baye McNeil

ブルックリン出身の作家・コラムニスト・講演者。2004年に来日し、「The Japan Times」 などで執筆しながら、異文化の交差点で生きる経験や、人種・アイデンティティ・多様性について鋭い視点で発信している。代表作 『Hi! My Name is Loco and I am a Racist』 に続き、最新作『Words by Baye, Art by Miki』 では、日本人の妻と築いた人生をユーモアと洞察に満ちた筆致で綴る。日本社会の枠にとらわれない視点が話題を呼び、講演やワークショップも多数開催。ジャズ、映画、ラーメンをこよなく愛する。

ウェブサイト:Baye McNeil/life in Japan

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事